「い、一静のバカっ!」

きっかけは些細なことだった。
普段全く喧嘩をしない俺らだけど、時々、年にあるかないかぐらいで、こうやって口論になることがある。

「は?」

名前は意外と頑固で、一度揉めると謝ろうとしない。
だけど、普段怒り慣れていないせいか、目には涙が溜まり、それをこらえるようにギュッと唇を噛み締めている。

俺はといえば、怒りなんかとうの昔に冷めていて、だから俺が「ごめんな」と言ってやれば済むことなんだけれど、
ただ、目の前の怒っている名前があまりにも可愛くて、わざと怒ったふりをする。

先程のように「は?」と凄めば、ビクッと体を震わせ、より涙を目に溜める姿なんか本当に愛しくて、すぐにでも押し倒してしまいたい。

大体流れはいつも同じだ。
口論のまま、俺がいつも無理矢理抱いて上手く丸め込み、翌日になれば今までの分を取り戻すようにベタベタに甘えてくる。

さて、今日はどうやってベッドに連れ込もうかな。



喧嘩しても余裕な松川
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