今日は年に一度の球技大会。
私の出場競技はバレーボールです。
全競技優勝、とクラスの皆は張り切っていますが、私は“とにかく足手まといにならないように”を目標としています。
というのも、ここ伊達工は工業高校のため全生徒の約8〜9割を男子生徒が占めており、球技大会も自然と男女混合になってしまうのです。

「苗字っ、頑張ろうな!」
「う、うんっ。」

試合は皆がフォローしてくれたおかげで、私はサーブ以外殆どボールを触らずにあっという間に決勝戦へと勝ち進んでいきました。
あと1点で私たちの優勝が決まるという時、試合前にクラスの皆が「俺らのクラスはバレー部二人もいるんだから優勝だろ!」と言っていたことを思い出し、本当に優勝しそうだなと他人事のように思っていると

「苗字っ!最後!」

え、と思い呼ばれた方を見ると、茂庭くんが私に向かってふわっと高くボールを上げていました。

「えっ!えっ!?………えいっ!」

突然の事に頭がパニックでしたが、これはきっと打てってことだと思い、恐る恐る手を振りかぶるとぽこんとなんとも間抜けな音を立て、ボールは相手コートの床へと落ちていきました。

「おぉーっし!優勝ー!」と言うクラスメートの声をぼんやりと耳に、私は自分がボールに触れたことにドキドキと高揚していました。

「苗字!最後決めてくれてありがとな!」
「ううん、茂庭くんが打たせてくれたから。それに、みんながいっぱい点とってくれたから。」
「でも苗字、サーブもちゃんと入ってて凄かったよ。」
「あ、ありがとう。」
「今日の打ち上げ、楽しみだな。」

へんてこなスパイクだったけど、茂庭くんのおかげで私も1点クラスに貢献することができました。
あまり話したことはなかったけど、茂庭くんって優しいんだなと、少し茂庭くんを知れた気がします。



(茂庭ー!最後女子に打たせるなんてずりぃぞ!あんな一生懸命打たれたら取れねぇじゃねぇか!)
(ぷ、鎌先さんヘタレっすか?ってか茂庭さん、やっさしー。)
(セッターずりぃなぁ。)
(う、うるさいよ皆!)

茂庭さんと球技大会
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