「京治、メガネかけてたっけ?」

二人で晩御飯を食べた後「今日は仕事を持って帰ってきたので」とパソコンに向かう京治を見ると、メガネケースからメガネを取り出していた。

「ああ、最近買ったんです。仕事でパソコンばかり使いますから、視力低下の予防にと思って」
「へー」

初めて見るメガネ姿が新鮮で、ついまじまじと京治の顔を見てしまう。

「あの…、そんなに見られると仕事ができないんですが」
「あ、ごめん。でも京治メガネ似合うね」
「そうですか?」
「うん。仕事でしかかけないの?」
「まぁ、仕事でしかパソコン使いませんからね」
「そっか」

京治の会社の人は毎日京治のメガネ姿を見れるのかと思うと軽く嫉妬してしまう。小さい女だな、と思うけれど羨ましいものは羨ましい。
私がメガネ姿を見られたのは偶然であって、もう見られないかもしれない。

「そんなに似合ってますか?」
「うん」
「惚れ直しました?」

そう言い顔を近付ける京治はニヤリと何か企むように口角を上げていた。



(名前さんがかけてって言ってくれればメガネくらいいつでもかけますよ)
(本当?)
(はい。なんならこのままキスでもしますか?)
(!)

赤葦とメガネ
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