シュー、シューと熱い蒸気を吹き出すアイロンを大きなワイシャツにシャっと通す。

「よしっ、ばっちり」

パリッとなったワイシャツを目の前に広げ、出来上がりを確かめる。
京治は毎日私がアイロンをかけたワイシャツを着てお仕事を頑張ってるんだなと思うと、ワイシャツすら愛しく見えてくる。

「ちょっと、着てみていいかな」

出来心というか、なんとなく京治のワイシャツを羽織りたい衝動に駆られ、アイロンをかけたばかりのワイシャツをふわりと羽織る。
洗いたてなので京治の匂いではなく洗剤の匂いがするけれど、アイロンの暖かさがなんだか京治に抱き締められているみたいでドキドキする。
こうして羽織ってみると体の大きさの違いがありありと分かる。
京治って細く見えるけどガッチリしてるのよね。なんて思いながら暖かさにうとうとしてしまう。

「何してるの」
「あ……」

見つかってしまいました。




(いや!あの!別に意味はなくて!)
(………)
(いや!なんか!抱き締められてるみたいとか…じゃなくて!)
(……それなら、ワイシャツじゃなくて俺がしてあげますよ)
(……っ!)
(満足ですか?)
(う、うん…。京治?)
(ん?)
(おかえりなさい)
(ただいま)

赤葦奥さんとワイシャツ
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