あんまりに大きくて眩しい光だったものだから、いつか落ちてきてしまうと思った。雲ひとつない夜が風になびく。その合間を埋め尽くしている星はひたすらデュオへ優しい。行く先を照らしてくれるその仄かな灯りだけを頼りに、ただ走っていた。何を話そう、そんなことばかり考えているせいで気分はやけに浮わついている。足取りは軽く纏う空気が心なしか暖かかった。とにかく早く、隣に君が欲しかった。きっと呆れたような溜め息をひとつ吐いて、散々に小言を洩らして、下手をすれば手だって出される。それでも最後には握り返してくれる掌のぬくもりを、デュオは知っていた。知ってしまったから、だからいとおしくて仕方がない。ふと立ち止まって見上げる。強く強く、宇宙と同じ世界を共有しているこの時間の空が好きだ。小さな身体に似つかわしくない大きな機械に乗り込んで、あそこからオレたちは降りてきた。地に立ってからすぐ、帰ってきたと思った。すべての始まりの場所に戻ってきたと思った。
(ここから見上げる宇宙はあんまりに小さいけど、オレぐらいにとっては調度いいのかもな)
(アイツは、ヒイロはなんて言うだろう、こんな星の夜を見て、アイツはなにを思うんだろう)
寒さに赤くなる鼻を乱暴に擦りながら、デュオはその長い三つ編みを翻した。
早く早く、ずっと早く、どうしても君に逢いたい。
respect:スターフィッシュ