オルゴールは回る
Skit.『着替えのその後』 ( 3 / 10 )
[栞]綾(そういえば、この服どうしよう……。着替えたはいいけど、持ち歩く訳にもいかないし……あった方が不便しないかもしれないけど、いつ洗濯出来るかもわからないしなぁ)
チトセ「リズちゃん、どうしたの?」
綾(あ、チトセ)
チトセ「その服、リズちゃんが着てたものよね。……えっと、もしかして処分するか悩んでる?」
綾、頷く
チトセ「そうね、持ち歩くと大変だものね。よかったら、ちょっと見せてもらってもいい?」
綾(? うん、構わないよ)
チトセ「ありがとう。あら、良い生地……でも所々傷んでるみたいだし、ちょっと勿体ないけどこの際処分してもらったらどうかな?」
綾(うーん……そうだね。そうしよっかな)
綾が首肯するのを見て、微笑むチトセ
チトセ「じゃあ、見張りの人に頼んでおくね」
綾(そうだった、あたし声出ないから交渉出来なかった……ごめんね、お願いします)
頭を下げる綾に、チトセは笑顔のまま首を振る
チトセ「いいのよ、リズちゃん。これくらい、どうって事ないもの」
綾(チトセ……ありがとう)
扉に向かうチトセを見送り、綾はふと首を傾げた
綾(ん?そういえば、あたし滅多刺しにされた筈だから、服も相当穴だらけだったと思うんだけど……チトセ、所々傷んでるとしか言わなかったよね。……あれ?)
***
浮かんだ疑問はしかし、後々の騒ぎなどで忘却の彼方へと去りました。