眠る貴方に秘密の愛を


「俺、好きな女出来た」

突然、幼馴染みであり初恋の彼が告げた真実。私の淡い恋は、これで幕を閉じたと思った。誰より近くに居られて、幼馴染みはこんなに残酷なものなんだと感じた。神様は、なんでこんなに残酷な運命を歩ませようとするのか…。人生とはそんなものなのか。何度、思った事か。

「がんばれ、政宗」

根から応援出来ない私は、貪欲で彼が見る私なんかより腹黒い人間なんだ。嫉妬、憎悪…。少なからず、私の胸にはあった。だけど、口にするほど、度胸もない。だから、幼馴染みらしく恋の相談役としてしかなれないんだと改めて思う。だから、残酷なんだ。

「え?今なんて?」

「だから、膝枕ってどんなもんか試したいから実験台になれ。OK?」

「う、うん。私で良ければ…」

ずきっ、と胸が痛んだ。膝枕なんて、本当は好きな人にしてもらいたいに決まってる。それでも、私が貴方に出来るのはこれぐらいなのかなって思う。

「こう?」

「good」

今は、政宗の家にいた。リビングにあるソファーに座れば、すかさず政宗が私の膝を枕に横たわる。しかも、丁度良いから一眠りするとか、人勝手な事を言い出す。相変わらず、世界は政宗で動いてるらしい。それでも、政宗はかっこいいし、いざと言うときは頼りになる。それに優しいところもあったり、惚れる要素ばかりの出来た人間だったりする。だから、政宗が好きになった人とも政宗は、上手くいくんだろうなって思う。私なんかより、幸せなんだろうな。私にしてくれない事もやすやすとするんだろうな、と思うと…どうしようもない気持ちが立ち込めてくる。手を伸ばせば、すぐ触れられるところに彼はいるのに、遠い存在なんだってつくづく思う。


そっと、政宗の髪に触れた。サラサラとした肌触りが良い髪を、ゆっくり撫でる。それでも、されるがまま…いや、もう寝てしまったのだろう。気づけば、もう政宗が寝てから15分は経ってる。

「政宗…」

名前を呼んでみる。返事はなかった。すっかり寝てしまったんだろう。こんなに欲張りな私に無防備な姿を晒していいの?

「幼馴染みの私が…政宗を好きでいるなんて知ったらどうする?」

返事が無いのは分かってる。それでも、胸の内のものを吐かなければ、どうにかなりそうだった。これは独り言。誰にも聞かれず消えていく言葉―…

「政宗に好きな人が出来たって聞いた時、どうしようもない気持ちが込み上げてきたの…きっと、政宗は好きな人に優しく接したり、キスとか…するんだろうなって考えたらっ…っ」

言っていて、涙が溢れてくる。政宗の顔に落ちないように慌てて、手で拭った。声が震える。どうして、私じゃないのか。なんで、私には振り向いてくれないのか。

「私の初めてを政宗に全てもらってほしかった…好きだよ、政宗…っ」

叶わぬ恋。幼馴染みが迎える結末は、こうも残酷だって知っていれば、他人で出会っていれば良かったのか。そんな疑問を頭を過ぎる。ぐしゃぐしゃになった自分の顔を両手で覆おうとした時、すっと私ではない手が私の顔に触れる。

「Don't cry.It is glad and takes your first sexual intercourse.My lover」

「えっ……んっ…!?」

ぐっと、引き寄せられて、気付けば“政宗”と唇を重ねていた。何が起こっているのか正直分からない。ただ、少しずつ頭の中で理解していったのは、キスをしている。そして、政宗が起きていたと言う真実だった。

「ま、政宗っ」

「…誰が他の女を好きになったなんて言った?まだ、何も言ってないだろうが。hasty conclusionな奴だぜ」

「え、え?政宗?」

日本語のはずなのに、政宗の言葉をすぐには理解出来なかった。宇宙語を聞いているようだった。

「好きな女は、アンタだ。understand?」

馬鹿な奴だな、とばかりに、ふ、と嘲る政宗に私はみるみる顔を赤らめた。ともに、理解していくにつれて、涙がまた溢れ出す。さっきとは真逆な意味の篭った涙。嬉し涙を。そすれば、政宗は泣き虫、と笑った。良い。笑われても、零れ出す涙を優しく政宗が指で掬ってくれる行為をこんなに純粋に嬉しいと思えるのだから。



眠る貴方に秘密の愛を
眠る彼に秘密の“愛”…則ち、告白を告げた時、神様は、私に幸せをくれた。









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