▼我慢は嫌いです

突然だけど、私は我慢なんて大嫌いなんよ。
苦しくてつらいから。
それは自分がしてもそうだし、他人がしているのを見ていてもそう感じるんや。

だけど、兄は「我慢や!」とか言っていて、意味がわからへん。なんで、そんな…お兄ちゃんだけ我慢しとるんやろとか思うたら、理不尽に感じる。まだ小学生の私には分からんことなんやろか。

「…そんなんで自転車乗ってて楽しいん?」

お兄ちゃんの高校の部活がなんか変わったんは雰囲気で知っとる。でもお兄ちゃんは詳しくは喋らへんし、私にはいつものように笑いながら言う。

「確かに部活の方針は変わった。せやけど、オレのスタイルは変わらんから、」
「あほちゃうか!そんな、お兄ちゃんばっかり我慢しとるやん」

お兄ちゃんはお人好しや。我慢やなんやのいうて、この人いつか借金の連帯保証人とか、なんかそういうんにされるんやないのとたまに本気で、思う。
私のそんな考え知らんお兄ちゃんは、困ったように笑ってから私の頭を撫でる。

「大丈夫やて。ほんま、いつも心配させてあかん兄ちゃんやな」
「…っ!してへんし!あほや!ほんまお兄ちゃんは、あほや!」

ほんまに、うちのお兄ちゃんはあほや。絶対にええように利用されたり、しとるにちがいない。

(ええよ、もう。お兄ちゃんがそういうんなら、しらん)

ごめんなぁって謝ってくるお兄ちゃんは、私がなんに怒ってるか全然理解なんかしてへんかった。


その年のインターハイでお兄ちゃんぶっ倒れたと聞いて、私はめっちゃ怒ったのに、なんやお兄ちゃんは清々しい顔しとったから、ほんま意味分からんし、私はやっぱり我慢はいややわ思いました。

(絶対にお兄ちゃん、我慢のしすぎで頭おかしくなったんや…)

今度は我慢我慢御堂筋御堂筋我慢御堂筋言うようになったお兄ちゃん。
とりあえずあれや、誰やそれ言いたいけど、聞いたら長い話になりそうやから聞かんほうがええなと思った。

…やっぱり私は、我慢が嫌いや。ついでに顔も知らん御堂筋のことも嫌いになったんは、お兄ちゃんのせいや、絶対。




20140410
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