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「今日は手を繋いで歩こうよ」

バビルスへ向かっている時、入間様が手を差し出してきた。いつもは手を繋がずに登校しているのに…。しかも、入間様は好きな人がいるのでは…。その人に迷惑では…。

「入間様、滅相もございません。ナマエと手を繋ぐなどして、好きな人に見られたりしたらいったい何て言われるやら…」
「うーん。それもそうだね…」

入間様がうーん。と悩むけど、パッ。とひらめいたように顔を輝かせた。

「じゃぁさ、校門の前までならどう?」
「そ、それだったらいいです…」

おずおず。と手を入間様に差し出せば、ぎゅっ。と握られた。こういうことを言ってくるのは初めてで、何だか主従関係を忘れ恋人になったような気持ちになる…。入間様は不思議な存在だ…。

「さっ。着いたよ」
「あっ。ありがとうございました!」
「こちらこそ、ありがとうね」

入間様はパッと私の手を離せば、ひらひらと手を振り教室へと向かう。私も入間様と同じクラスなのだが、周りの皆に冷ややかされるのが嫌で、私と入間様は別行動を取っている。けれども、入間様と手を繋いで登校できたのは嬉しかった。私はふふ。と笑いながら、クラスへ向かうのだった。
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