(犬介が引っ越す前くらいのお話)
「ねぇ、お願い!」
私は犬介の前に立つと、お願い!と手を合わせる。犬介は照れたようにぬいぐるみをしまうと、私の頬に手を添える。もうちょっだ。頑張れ!犬介!私は目をつぶる。
「何やってんだ?」
と、バルトが問いかけてくる。人がいなかったので、犬介は顔を赤くし私の頬から手を離した。やっぱり、米駒学園の屋上でキスをせがむんじゃなかった。ゾロゾロとバルトの後からベイクラブのメンバーがやってきて、バトルを始める。犬介も負けてはいられないのか。私の隣から離れると、バトルに参加する。
「悪いな。バルトがさっき…」
「いやいや、気にしていないし…!」
ダイナが私の隣に座り謝ってくる。私は首を振る。もう少しでキス出来たのにな…。溜息をつくと、ダイナが私の隣から離れ代わりに犬介がまた座る。
「もうバトルはいいの?」
「今は休憩。休憩も必要だから」
「そっか…。休憩か」
「後、それと…」
犬介はケルとベスで私の頬を包むと、皆に隠れるようにして私の唇にキスをしてきた。唇が離れると、犬介は顔を赤くし、そっぽを向く。私は犬介からのキスが嬉しくて、「犬介〜!」と大声で叫んで、抱きしめた。