眠る前にはキスをして(シュウ)


珍しく風邪を引いてしまった。仕事マンな両親は2人して風邪を引いてる私を置いて仕事に行ってしまった。けれども、リビングテーブルに「隣の部屋シュウ君に伝えておいたよ!恋人なんだから甘えなさい!」とメモを残していた。なんで、隣人で恋人であるシュウに頼むんだ。2人して人任せなんだから。
ベッドで眠っていると、チャイムが鳴る。多分、シュウだろう。私はベッドから起き上がり、玄関の鍵を外すと両手に荷物を持ったシュウがいた。

「珍しいな。風邪引くなんて」
「うるさい…。チョップするぞ」
「チョップしてもいいが、ご飯はなしだからな」
「うぐ…っ」
「大人しく寝ていろ」

シュウに言われた通り、ベッドに戻る。何を作ってくれているんだろう。とわくわくした気持ちで待っていれば、出来上がったのか一人用のお鍋と薬とコップにお水が入ったお盆を持ってきた。

「お粥だね」
「当たりだ」
「シュウのナポリタンが食べたかった」
「我儘言うと、食べさせてあげないぞ」
「シュウより年上なんだから一人で食べられるよ」

シュウからお盆を受け取ると、私は食べ始める。卵とだしがご飯に絡まって美味しい。やはり、シュウは私より料理上手だ。私はお粥を食べ終え、薬を飲み再び横になる。

「ねぇ、私が眠るまで手繋いでくれる?」
「名前は甘えん坊だな」
「っるさい。甘えるのシュウにだけなんだから」
「そうだな」

笑いながらもシュウは手を握ってくれて、「もう一つおまけだ」と言っておでこにキスをしてくれる。私はシュウのいきなりの行動に驚きつつも、薬の副作用のせいもあり目を閉じるのだった。