私を抱き寄せていた亮太くんの腕が緩められたと思ったら、亮太くんは立ち上がった。 どうしたんだろ、と見上げると、亮太くんに手を引かれ私も立ち上がった。
「ね…ベッド、行こ?」 『え…っ』
亮太くんの言葉につい顔が赤くなってしまうのが自分でも分かる。
「俺のして欲しい事…してくれるんでしょ?」 『……うん』 「今日は、いつも我慢してたこと…してもらうから。楽しみだね、詩乃ちゃん?」 寝室に連れられ、私は意地悪な言葉に俯いた。
「ねぇ…まずは、キスしてよ…詩乃ちゃんからさ」 『え…っ』 「早く…」
目を閉じた亮太くんに、意を決して私も目を閉じて、唇を重ねた。 「…それだけ?」 『え…あの…』 「いつも俺がしてるみたいに激しいのも…して欲しいんだけど?」
亮太くんへの“プレゼント”がどんどん過激になっていきそうな気配に、少しだけ申し出た事を後悔したけれど。 いつもより甘えてきて、いつもより意地悪な亮太くんにどうしようもなく惹かれている私は──恥ずかしいけどたまにはこれもありかなぁ、なんて思ってしまう。
『ん……っ』 「っ…」
私からはいつもしない激しい口付けをして唇を離すと、亮太くんはますます楽しそうな笑みを浮かべた。
「まだまだ…足りないよ?」 『…〜っ』
どこまでも余裕な亮太くん。 その表情は私をちょっぴり悔しくさせるけど、それ以上に愛しさが募る。
『ねぇ、亮太くん…』 「何?」 『…大好き』
そう言って亮太くんを見つめると、嗜虐を含んだ笑顔が、優しいものへと変わった。 彼の笑顔に、私も微笑んだ。
サンタ服に手をかけられながらも、私はもう一度亮太くんに囁いた。 『亮太くん、お誕生日、おめでとう』 「…ありがとう、詩乃ちゃん」
……これから先もずっと、こうしてまたあなたの誕生日を祝えますように。 真冬の夜、ふたりの熱い吐息を無造作に脱ぎ捨てられたサンタ服が聞いていた。
きらめいて、触れ合って
(ふたりで溶けて、幸せを分かち合うのだ)
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