亮太くんの唇の熱に翻弄され、じわじわと体の熱が上がっていく。
明らかに、お湯の熱さのせいだけではない火照りが生まれ、私を支配していく。

「本当…贅沢だよね?詩乃ちゃんと一緒にいられるのも、久々だし…」
『…うん、そうだね…』

聞こえる亮太くんの声は、優しくて穏やかに、私の鼓膜をくすぐる。
胸の奥の方が、きゅっと疼く。

『あ…、ひぁ、っ…』
耳たぶにキスをされたかと思うと、そのまま耳たぶを甘噛みされた。
ぴりっと、甘いだけではない何かが体中を駆け巡る。
右の耳だけ、火傷でもしてしまったのではないかと思うくらいに熱い。

「詩乃ちゃん…」
亮太くんのキスのせいでいつしか停止してしまった私の思考回路でも、亮太くんの声に嗜虐性が戻った事がわかる。

「ねえ…どうして欲しい?」
耳元で囁かれ、脳が痺れていく。
とびきり甘く、とびきり意地悪な言葉に、軽く眩暈を覚える。

『亮太、くん…っ』
私が震える声で、なんとか彼の名前を呼ぶと、強い力で彼の腕の中に引き寄せられた。
『あっ……』

彼の熱を持ったものが私に当たって…小さく声を漏らしてしまった。
「なーんて。本当は俺が我慢できないんだけど…ね?」

その言葉に、思わず振り返ってしまう。
その彼の顔は、お湯の熱さのせいなのか、それとも照れているからなのか、どこか赤く染まっていて。

『…ふふっ』

何だか、いつも余裕な亮太くんのその表情が可愛らしくてつい笑みを浮かべると、唇が重なった。
急に、息が出来なくなって苦しくなる。

『!…っ、はぁ…』
「…、……」

急な口付けの後、亮太くんは少しだけ拗ねたような表情を浮かべた。

「もう、そんな余裕そうな表情させてあげないから…覚悟してね?」
『…えっ…』

ぱしゃん。
お湯が揺れる。

どくん。
心臓が強く鼓動する。

──私は高鳴る鼓動のまま、大好きな彼の熱に身を委ねた。


息も出来ないほど深く



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