やがて見慣れた車が目の前に停まり、
内側から助手席のドアが開く。


「お待たせ。乗って」



慌てて助手席に滑り込む。


「ありがとう、遅くなってごめんね」



「…こっちこそ。流°に会うの、楽しみにしてたから」




そう言って 柔らかく微笑むと
そのまま車を発進させた。



ホテルのレストランでの食事と言う事で
珍しくスーツ姿の義人くんに、
思わず見惚れた。



「…何?」



私の視線に気付いたのか
声をかけられる。


うぅ、恥ずかしい…!


でも、ひとつ年齢を重ねた義人くんは、
やっぱり素敵で。



「…、今日のスーツ、カッコイイな、と思って」



と正直に告げた。



「…流°の方が、綺麗だと思うけど?」



サラっと告げられた言葉に、顔が火照る。


…確かに今日は、
いつもよりオシャレに気合い入れたけど。
 
場所が場所だし。
義人くんの誕生日だし。

やっぱり、
そんな風に直球で褒められると、
照れてしまう。





そうこうしてる間に、
車は目的地に到着した。



[prev] [next#]
back

[TOP]



- ナノ -