「一磨は?何ひとりで暗くなってる訳?」 「え…あ、いや……」
京介は、思いつめたような表情をしている一磨に、探るような、そしてどこかからかうような言葉をかけた。 返答に困っているであろう一磨を見て、口を挟んできたのは亮太だ。
「そりゃあ、詩乃ちゃんに何あげるか悩んでたんだよねぇ。俺たちと被らなさそうなプレゼントをさ。ねーえ、リーダー?」 「な……っ」 「ね?図星でしょ?」 亮太の大きな瞳には、もうテレビの前で見せる可愛らしい笑みなど微塵も残っていなかった。
「いや、俺は……」 顔を赤くして言いよどむ一磨を見て楽しんでいたのは、他の誰でもなく亮太だった。 黙りこくってしまった一磨に、フッと口角を上げて微笑んだ京介。
「今度、ラジオの時に…さりげなく聞こうかな」 今度は、翔がその言葉に眉を上げる。
「あ、京介ずりー!俺だって詩乃ちゃんに聞きたい!」 攻め寄る翔に微動だにせず、京介は楽しそうに目を細めた。 「…自分で聞けば?」 「う…まぁ…それはそうなんだけど……」 「ま、翔だったらさりげなく聞くことなんてできないだろうから、詩乃ちゃんにサプライズ…なんて無理だろうけどね?」
どこまでも余裕な京介に、翔は声を荒げる。 「それ、どういう意味だよ!」 「どういう意味って…そのままの意味だけど?」
「バカにしてんのか!?」 「俺はそんなつもりはないけど?」
──穏やかだった光景はどこへやら。 こうなればいつものWaveと変わらなくなってしまう。 …結局、こうなってしまうのか。
亮太は自分から火種に火をつけたくせに、楽しそうにその光景を眺めている。 義人は、関係ないとでも言うかのように、文庫本をまた捲る。
そして…
「……っお前ら、いい加減にしろ!」
リーダーである一磨の一喝で、ようやくその場は収まった。 やっと落ち着いた、と一磨が息をつくのもむなしく…
「じゃあさ、誰が一番、詩乃ちゃんに喜んでもらえるか…勝負すればいいじゃん?」 …という亮太の言葉に、またその場は一気に騒がしくなるのだった。
その言い合いは…詩乃が誕生日を迎える1月30日まで、繰り返されたとか。
Present for you! ((俺のプレゼントが一番、気持ちがこもってる!))
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