また、だ。

朝目が覚めて
ぱちり、と目を開くと上半身だけ起こして外を見つめている雅治の姿。

細い割には筋肉質な
整った身体。

朝日を受けて
鈍く輝く銀髪。

けれど
その視線はどこか虚ろだった。


「…雅治」


布団から
少し顔を覗かせたまま、小さくそう言えば雅治は、ん?と言って優しい笑みを浮かべた。

その笑顔に
わたしの心はいつも締め付けられる。


「…おはよ」

「あぁ、
おはようさん」


でも
心の奥の罪悪感には気付かない振り。

分かってる。

彼をここに縛り付けているのは、紛れもないわたし。

分かってる。

幾ら身体を重ねても
彼はわたしの事を見てはくれない。


「雅治」


ベッドから少しだけ身体を起こして、彼の名前を呼んで軽く触れるくらいのキスを送る。


「ねぇ、」

「なんじゃ?」

「…わたしの事、
好き?」


そう聞けば
きみはまた偽物の笑顔を浮かべて、こう言うんだ。


「…好いとうよ」


嘘つき。

本当は
あの子の所へ、今すぐにでも行きたいくせに。


「わたしも、好き」


分かってるくせに
歪んだ愛を吐いて、彼をここに縛り付ける。

嘘でも良い。

滑稽でも良いから
きみにすがっていたい。

嘘つきは誰?
わたし。

(ズルい事してるって分かってる)
(それでもまだ、きみの傍にいたいの)


-end-

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