曖昧ミーマイン

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運命なんて、信じちゃいない。
熱狂的な運命論者が近くにいるせいで最近は信じそうになってるけど、それはいいとして。今はまだ、半信半疑だから。
でも、こればっかりは決まっていたことなんじゃないかと、何回か思った。

「高尾」

奴は、ことあるごとに俺を呼ぶ。使用頻度の高い順に単語を並べていくと「なのだよ」「蟹座」「ラッキーアイテム」の次くらいに来るんじゃないだろうか。そう思うくらいには呼ぶ。ってか、なのだよって単語じゃなくね?

「どーした?」

キセキの世代・緑間真太郎。
バスケに関しちゃ文句無しの化け物だが、性格と私生活にかなりの難がある。今日だって手の上にベレー帽持ってるし。いっそ被りゃいいじゃんって言ったら「帽子は好かん」と返された。左様ですか。

「提出するプリントに落書きするのはやめろ」

ぐぐっと眉間に皺が寄る。
あー、そんな難しい顔すんなって。そんな顔してっから近寄りがたいとか言われんだよ。ただでさえタッパがあってびびられやすいんだからさあ、もうちょっと朗らかにすりゃいいのに。……朗らかな真ちゃんとか、面白すぎてやべえ!

「ぶはっ」
「……人の顔を見て笑いだすとはいい度胸だな」
「ち、違うのだよ真ちゃん……くくっ」
「真似をするな!」

偏屈でストイック。そんな奴だから浮くわけで。
対して俺は社交的で、おまけにホークアイも持っている。緑間に足りてない部分をぴったり補っているようだと、自分でも思う。だから、思う。
俺がここにいるのは運命かもしれないと。運命なんてロマンチックな言葉で片付けていいのかはわからないが。

「ちゃんと提出する相手考えてるって」
「人によって態度を変えるのは感心しないのだよ」
「え、お前がそれ言っちゃう?」

俺は緑間のために作られたキャラクターで、コイツと出会ったことでようやく動き出しているんじゃないか。……なーんて、んなわけないけど。

「俺がいつ人によって態度を変えた」
「クラスメートと俺じゃ扱いが違うだろが」

仮に一緒にいるのが運命だとしてもこれはひどいんじゃなかろうか。俺のこと下僕とか言ってたし。照れ隠しなのはわかってるけど下僕って!それはあんまりにもあんまりじゃないですかね、緑間さんよ。

「何を馬鹿なことを」

ふん、と鼻で笑われた。

「よく知りもしない相手とお前とでは接し方が違って当然だろう」
「……」

なんつーか、あれだ。こういう発言を素で言ってのけるあたり末恐ろしいな、と俺は思うわけですよ。

「……左様ですか」
「おい、どうしてそんなに疲れているのだよ」

お前にはわかんねえだろうよ、とか言ったら不機嫌になるだろうから適当に丸め込むことにした。


無自覚に死ぬ


主旨が三転くらいした上に迷子

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