曖昧ミーマイン

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動くことすら億劫であるはずの宗像は、そんな素振りを一切見せない。ベッドでぐったりしているなんて持っての他で、さながら白蛇の如くするすると音もなく行動している。

「宗像ァ」
「ルームサービスに朝食は頼みましたからもう少し待ちなさい」

呼んだだけなのに全てを見透かされた。コイツは間違いなくエスパーかおかんだ。どちらにしろ気味が悪い。

「仕事は」
「ご心配には及びませんよ」

そう言って薄気味悪い作り笑いを貼り付ける。いつ見ても慣れない。慣れる予定もないが。

「おい」

ぺたぺたと素足で宗像へ歩み寄る。そして腕を掴むと力任せにベッドへぶん投げた。何せ相手は宗像なので遠慮はいらない。

「……何をするんですか」

ベッドへ投げられた宗像はと言えば至って元気そうに、仰向けに沈んでいた。眼鏡がずれかけているが大したことでもないだろう。
あからさまに不愉快そうにしている宗像に構うことなく、その上に覆い被さった。乾ききっていなかった髪からぱたぱたと水滴が落ちて、宗像がそれによって眉間に皺を寄せる。

「……流石にもう一度している時間はありませんよ」
「そんなんじゃねえよ」

疲れているのはお互い様だ。言わないが。まあ、だが出来なくはない。展開によってはそれでもいい。

「では何でしょう」

すらりと白い腕が、足が。
コイツは日焼けしたら黒くならずに赤くなった挙げ句に元の白さに戻るタイプだな。とか、余計な方へ思考を飛ばしたりもしつつ、にやりと不敵な笑みを浮かべた。

「その胸糞悪い喋り方やめたら何もしないでおいてやるよ」

さっきからぞわぞわして仕方がない。コイツの切り替えの基準がいまいちわからない。今のお前は宗像礼司だろうが。
宗像は一瞬きょとんとすると、面白くて仕方ないと言った風に口端を吊り上げた。これは素だろう。

「周防……おねだりならもう少し可愛くしたらどうなんだ」
「うるせえ」

可愛いなんてお互い柄じゃねえだろ。
そう言えば「否定はしないんだな」とますます宗像が笑い出すものだから、もう好きに言わせておこうと思う。


時に毒は薬に転ず


side:blueで(確か)白蛇と表現されていた宗像が可愛くて

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