曖昧ミーマイン

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「政宗様」

火照った身体で気分よくいたのに、険しい声で呼び止められた。
何したか。……思い当たることが多くて逆に思い当たらねえ。

「Ahー?何だ」

説教が始まったら口答えは出来ないから、せめて今だけでも態度を大きくしてみる。本格的に怒っている時はそれだけでも説教が割増になるのだが、今回は幸いにしてそんなことはなかった。そんなに怒る用件でもなかった、ということか。
手探りで小十郎の心情を推理していると、小十郎はどこからか手ぬぐいを取り出した。

「あ?」
「髪が濡れたままです。そのままでは風邪を引いてしまいます」
「……は」

どんな顔で言っているのかと思えば、大真面目な顔してやがった。この程度で風邪引くって、餓鬼かよ。とか言ったところで口うるさい説教が飛んで来るんだろう。それがわかっていて口答えするほど俺はマゾヒストじゃない。

「それなら乾かしてくれよ」

自分でちまちま乾かすのはどうにも面倒臭い。
言いはしたものの本当にしてもらえると思ったわけじゃない。子供ではないのだから、とか一国の主に相応しい振る舞いを、とか説教垂れながら手ぬぐいを渡して来るんだろう。そうだとばかり思っていたのに小十郎の返答は意外だった。

「承知しました」

神妙にそう返すなり、手ぬぐいを俺の頭に被せてくる。それから、手ぬぐい越しに俺の頭をわしゃわしゃと撫でた。いや、乾かしてるんだろうが。

「……子守りかよ」

あんまりにも手慣れた手つきなもんだから、昔のことを思い出す。餓鬼だった頃はよくこうやって髪を乾かしてもらったもんだ。
呆れるやら、懐かしいやら。

「そう思うならご自分でこれくらいはしてもらいたいものですね」

そう言いながらも手は止まらないんだから、コイツも大概素直じゃないよな、と思う。
言ったら怒られそうなので黙っているが。


trashy


タイトルは和訳で「くだらない」

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