曖昧ミーマイン

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「類は友を呼ぶ、という言葉をご存知ですか?」

暇なのか、ふらりと姿を現した宗像が言う。そんなに暇ならパズルでもやってりゃいいだろ。

「馬鹿にしてんのか」
「おや、その様子だとご存知のようで」

帰れ、と言っても帰らないだろうから渋々会話に付き合う。

「人は自分と似通った人間に惹かれるようですね」

まるで自分は人間ではないかのように、言う。それに突っ込んだところで「いえ、私もれっきとした人間ですよ」などとさらりと返されるのは目に見えていた。だから何も言わず、黙る。

「だからでしょうか。王が王に惹かれるのは」
「おい」

雲行きが怪しくなって来ているのは流石にわかったので制止をかけた。だが宗像は構わず続ける。

「自分と同じ者に惹かれる。……さて、それは自己愛と何が違うのでしょう?」
「……」

宗像は聡明な方に分類されるとは思うのだが、その割りに馬鹿なところがある。頭が良すぎるのも考えものってことか。
色々と言ってやりたいことはあるが、口が追い付かない。だからひとつひとつ、反論。

「お前は、俺とお前が似てると思ったことがあるのか」
「いいえ。ですが強大な力を有している王、という点においては同じですから似ていることを否定は出来ません」

一々言い方が回りくどいのが気に入らない。お前普通に喋れんだろうが。

「じゃあ他の王に惹かれたことは」
「ありませんね。そもそも王と接触することがあまりありませんし」

即答した。考えるまでもなかったらしい。まあ、他の王と仲睦まじくしている宗像、なんてのも想像出来なかったんだが。

「じゃあさっき言ってたの、間違いだろ」

俺とは似てない。他の王に惹かれない。
それならさっきの発言は勘違いで間違いない。王がどうだとか、似ているだの似ていないだの。くだらない。考え過ぎだ。
だから指摘してやったまでなのだが、宗像は軽く目を見開いた。何か意外に思うことでもあったのか。

「貴方もたまには頭の回ったことを言うんですね」

心底意外そうに言われた。心外だ。
燃やしてやろうかと心外ついでに思ったりもしたが、珍しく楽しげに薄く笑っていたので、その気が失せた。


ネガティブすら眩む


彩愛』提出

2013.03.12

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