曖昧ミーマイン

http://nanos.jp/bisuge/



友情と言うには重い。

「……」

いつものように、巡回のふりをして美咲を捜す。
自覚はあるが、俺の世界は酷く狭い。昔から人と接するのが嫌いだった。そう言うと暗いと言われるが、他人の言うことなんてどうだっていい。
俺の世界は十代半ばに完成した。その時が最も理想的で、それ以上もそれ以下もいらない。美咲以外はいらない。

「あ」

美咲を見つけた。
特に目的もないみたいでぷらぷらとしている。俺に遭遇するなんて思いもしてないんだろう。本当に、馬鹿だ。
美咲を視界に入れた途端に、眼球が美咲に固定されて動かなくなる。それこそ盲目的に。後は美咲が俺だけを見るなら、俺の世界は完成する。世界を完成させるために、俺はわざわざ禁句を口にする。

「みぃーさぁーきぃー」

ぴくりと、美咲の眉が跳ね上がった。ああ、掛かった。無視すりゃいいのに、毎回律儀に引っ掛かる美咲は本当に馬鹿だ。

「猿……テメー、どの面下げて俺の前に来やがった!」
「どの面って、俺は生まれた時からずっとこの顔だけどなあ〜?」

わざと苛立ちを誘う口調で言う。そうすると、美咲の額に青筋。おお、怒ってる。そうやって我を忘れて、俺しか見えなくなればいい。
ああ、そういえば盲目的になるのは恋なんだったか。

「ぶっ殺す!」
「はっ、出来るもんならな」

美咲は俺しか見ていない。これで、俺の世界は完成した。


それならこれは恋でいい


通常運転

2013.01.22

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -