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「お前ってさあ」
「何だい、ケンケン」
「おまっ、それだそれ!」
うだうだと生産性のない会話をしていると、不意に東が声を荒げた。そんなに大声出さなくても聞こえるって。
「それってどれだよー」
「ケンケンってやつ」
「え?普通に呼ぶじゃん」
「普段呼ばないだろ」
「……そうだっけ?」
何気なく呼んだのに東的にはそこがひっかかったらしい。東、よくわからん。
「お前、呼び方ふらふらするよな」
「蘭ちゃんは蘭ちゃんだけど?」
「今!浅尾の話はしてないんだよ!」
「えー?」
ちょっと怒られた。そういうことじゃないのか。わからん。
「普段苗字で呼ぶくせに、急にケンケンとか言ってみたり、名前で呼んだりするだろ」
「あー、うん、まあ。嫌なの?」
あんまり砕けた呼び方をされたくないとか?あんまりいい顔をしてないから嫌なんだろうかと思ったり。でも東の反応がはっきりしない。嫌なわけじゃないのか。
「別に。どういう基準で呼び分けてんだと思って」
「え、ノリ?」
基準とか言われても困る。そこまで考えてなかった。でも長年の付き合いの東は大して意外そうな様子を見せなかった。
「そんなことだろうとは思ってたけどな」
「じゃあ聞くなよー」
わかりきったしょうもないことを聞く。それだけ話題がないということだろうか。確かに話題はないけど。
「せめて蘭ちゃんがいたらな」
「浅尾がいたらうるさいだろ」
「東もすぐ怒鳴るようになるしね。あ、いつもか」
「おい」
そうやってくだらない話をして、いつものメンバーが揃うのを待つことにした。
ケンケン呼びが可愛くて好き
2012.11.14