曖昧ミーマイン

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鳴上の交友関係は広い。前にそれを茶化してみたら「コミュ力上げないといけないからな」と真面目そうに返された。
その言葉を裏付けるかのように、鳴上の交友関係は老若男女問わずだ。下は保育園児から上はおばあさんまで。下手をすると乳児とまで仲良くなるのかもしれない。要は侮れないのだ。
そんな奴だから、携帯の電話帳も大変なことになっている。

「モテモテだな、相棒」

何度か震える鳴上の携帯は、複数のメールを受信している。相手はきっと一人じゃない。

「ああ、そうだな」
「否定しないのかよ!」

否定しなかった。鳴上がモテてるのなんて知ってたさ。知ってたけども!さらっと言うなよ!厭味ねーな畜生!

「ちょっと待ってくれ。返信するから」
「……おう、いいけどな」

俺と鳴上は俺の部屋にいて、勉強をしている。そこまで真面目にしていたわけでもないから、中断されるのは別にいい。でもやっぱり面白くないと思ったりもするわけで。
私の前で誰かと連絡取らないで、なんて束縛強い彼女みたいで笑えない。交友関係の広い鳴上がそんなことを言われれば困るのは目に見えていたし。わざわざ困るようなことを言うつもりはないし。

「しっかしすげーよな。転校してこの馴染みっぷり。流石は鳴上っつーか」

鳴上だからこそここまで馴染んだんだと思う。それは俺には出来ないことで、純粋にすごいと思う。
すると鳴上は、かちかちとメールを打ちながら言う。

「最初は陽介達が話し掛けてくれたからな」

メールを作り終わったのか、鳴上は携帯を閉じる。

「ありがとう。感謝してる」
「お、おう……」

いきなり感謝された。今、そういう話じゃなかった気がする。
でも唐突な感謝のおかけで、さっきまでのくだらない考えが飛んだ。そうだ、そんな鳴上と最初に仲良くなったのは俺達じゃないか。そう思うと優越感。

「まさかゴミ箱に頭突っ込んで転がってる奴と仲良くなるなんて思わなかったけどな」
「ちょっ、まだ覚えてんのかよ!いい加減忘れろって……」

そういう優越感も大概汚いんだろうが、思ってしまうから仕方ない。せめて鳴上には悟られないように、いつものように笑うことにした。


引く手数多


人気者の相棒は大変な話

2012.09.01

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