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俺の生活は充実していた。
社長を守る日々。俺には何の不満もない。だが周りの人間はそうは思わなかったらしい。そんな歳で遊びもせずに過酷な場所に居続ける俺のことがさぞおかしなものに映ったのだろう。
本人である俺が満足してるんだからいいじゃないか。だが周りは遠巻きに俺を異端と見ていた。そんなことは、俺にとってはどうでもいいことだけど。
そんな中で、ある日、俺の世界に色が入った。
「ん?」
視界の端をちらつく、白。
その色を見慣れない俺にとっては目を引く色で、引き寄せられる色で。
「何だ?」
だからこそ俺はあの時、その白に足を向けたのかもしれなかった。
(でも、お前だけは白かった)
御題提供元「家出」
2011.11.06