曖昧ミーマイン

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「香織、ごめん」
「いいから喋るな」

米良が怪我を負った。それは米良本人のミスとも言えるし俺のミスだとも言えた。だが今はそんなこと考えても仕方がないし、口にしてもそれは変わらない。だから俺は何も言わないことにした。
まだ敵を撒くことは出来ていないのだ。今、余計なことに気を遣っている暇はない。

「米良、どれくらい動ける」
「うーん、腕だから逃げるだけなら問題なさそう。戦うっていうならちょっと制限かかるかもね」
「そうか」

それなら反撃などは考えず撒くことだけに集中した方がいいだろう。頭の中でシミュレーションしていたうちの作戦のひとつを引っ張り出して米良へ伝える。
最も米良の安全が確保出来るのは俺が囮になるという作戦だったが米良が怒りそうなので言わないでおく。昔はそれくらいの無茶は迷いなくやったのだが今は米良が怒る。社長も心配する。

「香織、大丈夫?」
「その台詞、そのまま返す」

俺達と敵の実力、装備品に地理。それら全てを含めて考えても撒けないことはなさそうだ。勿論だからと言って油断はしないが。

「後で尾杜先生に診てもらうぞ」
「えー、定期検診サボってるから行きにくいなあ」
「またサボってたのか」

その辺りは後々説教をすることにしよう。米良は年上のくせに時折ひどく子どもじみている。今もやはり尾杜先生のところに行くのが嫌なのか苦い表情をしていた。

「わかってるとは思うが自宅療養でなんとかなるような傷じゃないからな」
「うん、それはわかってるんだけどね」

それでも嫌なものは嫌なんだと米良は言う。それじゃまるっきり子どもだ。
そんな米良に呆れ返りつつも、そんな米良を守るために俺は銃を構えることにした。


翻弄、されている


逃走中な二人。

2011.04.03

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