曖昧ミーマイン

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※幸→佐


「佐助!」

名を呼ばれた。それはひどくまっすぐな声で、気持ちがいい。面倒な呼び出しでないといいな、なんて考えながら(かすがいわくやる気のない声、で)返事をすればこちらへ来いと言われた。
旦那はいたく真面目な表情をしていて、何かあったのかもしれないと思う。無言で旦那の少し手前に膝をつく。

「佐助。俺はお前が好きだ」

何を言い出すかと思えばこの人は。
真面目な話かと思って身構えていた分、つい脱力してしまった。同時にいきなり何を言い出すのか、と困惑する。

「はあ、そりゃありがたいね」

旦那が俺様のことを(あくまでも忍にしては、だけど)良く思ってることはわかってるから改めて言われると照れるんだけど。旦那はそういうところ天然だから今の俺様の気持ちは一生理解はされないんだろう。
俺様がなんと返せばいいのか迷ってると旦那が首を横に振った。何、違うの?

「すまん、言葉が足りなかった」

そう言うと旦那は言葉を探しているのか少しの間黙り込んでしまった。

「……なんというか、その、慶次殿がよく口にしているような、前田殿のがまつ殿に持っているような……」

前田のところで例えてきたか。旦那にしては珍しく歯切れが悪いところを見ると一生懸命考えながら喋っているらしい。

「……えーと、つまり旦那は恋愛感情で俺様のことが好きなの?」
「うむ」

あっさり肯定した旦那は照れた様子もなければ破廉恥と言い出す気配もない。旦那は恋の「こ」の字も知らないような人で恋愛事が少しでも絡むと破廉恥だと騒いでたんだけど、どんな気持ちの変わりようだろう。恋が悪いとは言わない。でも今回は駄目だと俺様は思う。

「旦那、俺様男なんだけど」
「当たり前だろう」
「団子作ってくれるから好きってわけじゃないよね?」
「……む。そういった理由がある部分も多少はある」
「……大将はなんて?」
「俺の思うように、と」
「あ、そう」

旦那は熱血で頑固だから一度どこかに矢印が向いてしまうとそれを逸らすのは難しい。独眼竜の旦那がいい例だ。あれはもう死ぬまでお互いに戦い続けるんじゃないだろうか。俺様より先に死なせはしないけど。
こういう場合は傍観が一番なんだけど矢印が俺様に向けられているようだからそういうわけにもいかない。

「旦那、よく聞いてくださいよ」
「?」

旦那を説き伏せるのは骨が折れそうだけどこのままでいいはずがない。あー、でもこれ頑張っても何も変わらないし。給料上げてくれないかなあ。


異国で言うところの


もっとシリアスなはずだった。
でも冷たくあたる佐助が書けなかった。

佐助はだんだん根負け&感化されていけばいい。

2010.11.30

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