曖昧ミーマイン

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「そういえば、お前彼女いなかったか?」

悪気はないのだろうが、悪気がない故にその何気ない問いは俺の心に深く突き刺さった。男鹿は純粋に聞いたんだろう。そこは疑ってない。男鹿はそういう回りくどいことはあまりしない。だが、悪意がないからと言って許されるものでもない。

「……今はいないけどな」
「別れたのか」

かちん。
元からデリカシーのない奴だがその言い方はかちんと来る。別れたのかってお前!

「お前が変なことに巻き込むからデートに行けなかったんだろうが!」

男鹿がベル坊を拾って、とりあえず俺に見せに来て。その時なんやかんやあって逃げ出すことも出来なくて、結局デートには行けなかった。おまけに部屋まで壊されてそっちの方でばたばだしてたら余計に会えなくなって、別れることになってしまった。

「いや、俺のせいみたいに言われてもな」
「お前のせいだろうが!」

直接的な原因ではないにしろ、男鹿のせいでもあることに間違いはない。未練があるわけではないが、全く悪びれる様子がないのもどうかと思う。少しは申し訳なさそうにしろよ!俺は巻き込んで当然、みたいなそれはどうなんだ。

「魔王の子供っていうレアなもん見れたんだからいいだろ」
「今ではほぼ毎日見てるけどな」

確かに珍しいのは珍しいのだろうが、こうも毎日見ていると珍しいとは思えなくなってきている。それに何かと巻き込まれているのだから損の方が大きい気がする。

「じゃあ何も言わずに一人で勝手にやってた方が良かったのかよ」
「巻き込み方が極端なんだよ」

巻き込むにしたってもう少しやりようがあるだろう。部屋を壊したり、アランドロンを同居させたり。おかげで俺は妹にホモ疑惑をかけられつつ、ロリコン疑惑もかけられている。ホモでロリコンって、俺は一体何なんだ。

「……あー、可愛い彼女が欲しい」

何が悲しくて毎日不良に囲まれて生活しなきゃいけないんだ。俺の青春はどこで間違えた。
俺の切実な声を聞いたはずの男鹿は、それでも大して変化なく普通に返した。

「作ればいいじゃねーか」
「…………」

それが出来たら苦労しない。


追う背中は定まっているくせに


1話で言ってたデートする子が彼女だったのかははっきら覚えてないけども
1話の子が彼女だったパターンの話


2012.05.27

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