曖昧ミーマイン

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俺の恋人を紹介しよう。本当に恋人なのか疑わしい表現も出て来るとは思うが聞き流しておいてくれ。
名前は雲雀恭弥。俺は恭弥って呼んでて、十回に一回くらいは嫌そうな顔をされる。だけど九回は何も言わないから恭弥なりに譲歩してくれてるんだろう。恭弥は俺の弟子で、はっきり言ってしまえば戦闘狂だ。久々に恋人の俺が訪ねてみれば戦闘を持ち掛けてくる始末。ハンバーグと和が好きで、並盛が何よりも大切。並盛中学校の風紀委員長で、そのくせに学校を牛耳っているとかなんとか。ちなみに年齢は不詳。十代だとは思う。
とか、知りうる限りの情報を試しに開示してみたが、すごく胡散臭くなった。これは実在する人間のプロフィールだろうか。……俺もちょっと自信がない。

「ちょっと、僕以上に胡散臭い経歴を持ってる貴方に言われたくないんだけど」

黙々と何かの采配を考えていたはずの恭弥が、気付けば目の前にいた。いつの間に。

「あれ?聞いてたのか」
「同じ室内でぶつぶつ言ってたら嫌でも聞こえるよ。咬み殺されたいのかい?」
「いや!全く!」

微妙に発言の前後に関連性がないからな、それ。うるさいから咬み殺すのか?あ、言い忘れてた。口癖は「咬み殺す」物騒な口癖だ。
恭弥は何故かトンファーを構えていて、戦闘準備万端だった。何でお前はそんなに血気盛んなんだよ。

「そう。じゃあ黙ってなよ」

恭弥はそれだけ言うと懐にトンファーをしまい込んだ。トンファーとか収納してて痛くないんだろうか。疑問に思うが恭弥が何も言わないなら平気になんだろう。まあ、俺だって鞭とか持ってるわけだし。
それから恭弥は椅子へ座り直すとまた采配を考え始めた。わざわざ俺に注意をするために歩いてきてくれてたらしい。よし、ポジティブだ俺。ポジティブにいけ。

「……うーん」
「何」
「いや、何も」

恭弥は俺のことを見ない。そんなことより優先すべきことがあるのだろう。俺だってファミリーが最優先だし、恭弥が並盛を優先する気持ちもわからなくはない。それでもここまで無視ってのも……いや、俺が恭弥の立場だったら放置か。

「……」

理解は出来る。だけど面白くない。こっちを向けと念じてみても、恭弥はこっちを見ない。当たり前だけど。

「……ti amo」

どうせ聞いてないだろ。一瞥でもしてくれればそれはそれで良し。まあ、期待はしてないけど。なんて、思っていたら頭に激痛。何かと思えば恭弥がトンファーを投げ付けてきたらしい。おまっ、これ下手したら死ぬからな!?

「いってえ……な、何しやがる……」

血、出てないだろうな。出血には慣れてるけど学校ではまずいだろ。ただでさえ金髪とかで目立ってんのに。俺だって出来るだけ目立たずにいようとは思ってる。恭弥だって俺が目立つと風紀がどうとかうるさいだろ。目立たせないようにする努力をしろよ。
どう文句を言ってやろうか。そんなことを考えていれば、俺より先に恭弥が文句を口にした。

「ここは日本だよ。そういう台詞は日本語で言ったらどうなの」
「……へ」

どうやら、意味を理解していたらしい。そんなこと期待してなかったのに意外だ。
まあ、恭弥が言えって言うなら言ってやらなくもない。

「愛してるぜ、恭弥」
「貴方が言うと軽いよね」
「うわっ、ひでえ!」

言わせといてそれかよ!……まあ、恭弥らしいけどな。


相互破壊コミュニケーション


イタリア語ちょっとは知ってる風紀委員長

2012.01.04

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