曖昧ミーマイン

http://nanos.jp/bisuge/



勝手知ったる並盛中学校。今回の目的は弟弟子でもリボーンでもない。目指すは応接室で、必ずそこにいるとは限らないがそこにいる可能性が一番高い。

「恭弥!」

応接室のドアを力の限りに開けてみれば途端に殺気が飛んできた。あまりに強烈な殺気の正体は言うまでもない。

「学校を壊したら咬み殺すよ」

応接室の椅子に深く腰掛けた恭弥はそう言う。ちなみに数ヶ月ぶりの再会なわけだが恭弥にとっては話題に挙げるほどのことでもないらしい。その点に関しては俺もそこまで期待してなかったからいいけど。

「悪い悪い。次は気を付ける」

来ていきなり逆鱗に触れそうになった、危ない。素直に謝罪してからドアを閉める。ロマーリオは部屋の外で待機だ。
恭弥は俺がいても関心がないのかあんまりこっちを見ない。もう一回言うが数ヶ月ぶりの再会だ。泣いて喜べとまでは言わないからもう少し何かあってくれてもいいんじゃないかとは思う。

「で、何の用?」
「用がなくちゃ来ちゃいけないのか?」
「貴方は用がないのに来れるほど暇じゃないでしょ」
「それもそうか」

恭弥が俺のことをどこまで知っているのかはわからない。でも少なくとも忙しいのは知っているらしい。意外と見てくれてたっていう解釈でいいんだろうか。

「じゃ、今日は何日だ?」
「五月五日だけど」

恭弥は日付を確認することもなく即答してから俺を一瞥する。多分、まだ俺が来た理由を理解してない。

「五月五日は何の日だったかな」
「子供の日でしょ、馬鹿にしてるの」

かなりわかりやすくヒントを出したのに恭弥は気付かない。確かに恭弥はそういう概念は欠落してそうだ。このままだと焦れた恭弥が攻撃を仕掛けてきそうなので正解発表に移る。

「恭弥」
「何」
「誕生日おめでとう」
「…………………………」

すごい沈黙が返ってきた。恭弥が何を考えてるかはわからないが少なくとも喜んではない。わかってたけど。
恭弥が立ち直って文句か何かを言うよりも早く俺は一気に続けることにした。もうこうなったら言ったもん勝ちだ。

「今日は恭弥の誕生日だから俺なりにプレゼントを考えてきた。今日一日俺と戦えるってのはどうだ?ちなみに夕飯は高級店でハンバーグ」

提案した瞬間に恭弥の目が輝いたのを俺は見逃さなかった。戦闘狂でハンバーグが好物な恭弥には魅力的すぎるプレゼントだろう。プレゼントを無難に物にしたりしなくて良かったなあ、としみじみ思う。

「……ちゃんと貴方の部下はいるんだろうね?部下がいないと貴方はへなちょこだから」
「おう、廊下にロマーリオがいるぜ」
「そう」

プレゼントは無事受け取られるみたいだ。普通のプレゼントでなくても恭弥が喜んでくれるならそれでいいと思う。

「早速戦うか?屋上……だと建物壊すかもしれないから他の場所行くか」
「考えてあるの?」
「抜かりはないぜ!」
「そう」

ここでようやく椅子から腰を上げた恭弥は戦えることが楽しみで仕方ないのか目を光らせた。


ディナーはハンバーグ


今更すぎるヒバ誕。

2011.05.19

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -