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風紀違反の生徒を取り締まり、不良から適当に軍資金を巻き上げて応接室へと戻ってくれば久々に見た金髪の男がソファーを占領し、大口を開けて眠りこけていた。
「……」
何故いるのだろう。別に戦う約束をしたわけではない。彼の本拠地はイタリアで、気軽に来れないので突然訪ねてくることは滅多にないはずなのだが。
そんなことを考えたがなんだか馬鹿らしくなった。不思議に思うなら本人に聞けばいい。
「起きなよ」
トンファーを容赦なく金髪へ埋めれば「いってえ!」と大きな声があがった。うるさい。
「恭弥、世の中にはやっていいことと悪いことが」
「学校に不法侵入はやっていいことなの?」
「うっ……」
反論できないのか言葉を詰まらせた彼に溜飲を下げた。話くらいは聞いてやらないこともない。
「で、なんであなたはここにいるの」
「へ、ああ、ツナに会いにきたんだがちょうど授業中らしくてな。仕方ないから恭弥のところで暇潰すかーって思ったらいなくて。眠くなって……」
「あなた本当に無計画だね」
弟分に会うためだけにわざわざ海を渡ってきたのか。ぐるりと辺りを見たところ彼の部下はいないようだ。ボスという自覚は彼にはないのだろうか。
そんなことを考えつつ、機嫌を急降下させる。
「なるほど。じゃああなたは沢田綱吉だけに会いに来たんだね」
いい度胸だ。そう口にすれば己の失態に気付いたのか彼は慌てて口を開いた。
「や、待て恭弥!別にツナだけに会いに来たわけじゃねーよ。リボーンとか山本とか極寺とか、お前にも会おうと思ってたし!」
「……」
どうやら彼は墓穴を掘ったことに気付いていないらしい。それからこちらの性格さえ理解していないようだ。
「ワオ。あなたにとって僕はあの群れる奴らと同列なわけだね」
赤ん坊はいい。だが他の奴と同じレベルにいるのは我慢ならない。
「その認識、改めさせてあげるよ」
素早くしまい込んでいたトンファーを取り出し、好戦的な笑みを作れば彼の表情が歪んだ。
「部下呼びなよ。連れてきてるんでしょ。ヘナチョコなあなたを咬み殺しても面白味がない」
「何お前まさか嫉妬し」
「それ以上喋ったらその目障りな金髪を全部剃り落とすよ」
これでディーノが雲雀に会いに行くのが本当の目的だけどそれ言うと気味悪がられそうだから嘘ついたとかだといいな。
2010.04,29