曖昧ミーマイン

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※近←土前提















真選組の頭脳だなんだと言われてはいるが土方さんは結構馬鹿だ。いや、確かに頭の回転は早い。それは認めてやろう。ただそれは戦術面や統率面の話であって、特定の面ではてんでその頭脳は生かされてない。

「土方さん」

土方さんは近藤さんが好きらしい。尊敬とか、敬愛とか、そういうものを凌駕した世間一般で言う恋愛感情。あまりにも望み薄過ぎて応援どころか妨害する気にすらなれない。あの近藤さんに、土方さんのようなタイプが堂々とアピール出来るはずがない。純粋に相性が悪い。いや、一度くっついてしまえば甘やかしたい近藤さんと甘え下手な土方さんは相性が良さそうではあるが。って、絵空事すぎて考えるだけ馬鹿らしい。

「近藤さんがアイス抱えて出て行きやしたぜ。また姐御のとこでさァ」
「……そうか。後で回収に行く」

俺は意地が悪いからたまにこうして土方さんをつついてみる。でも土方さんは取り乱さない。誰にも何も悟られていないかのような態度を取る。俺が知っていることを知っているくせに、だ。土方さんはずるい。

「土方さんも毎回大変ですねィ」
「そう思うなら回収手伝えや」
「嫌でさァ」

内心、絶対穏やかじゃないくせに土方さんはそれ以上は言わない。弁えてるつもりなんだろう。これ以上踏み出せば今の立場で踏み入っていい領分を超えると知っているから言わない。
別に、くっついてほしいわけじゃない。むしろどっちかと言えばくっつくなと思う。願うまでもなくくっつかないだろうから滅多にそんなことは考えないが。
でも何も言わずただ傍にいる土方さんに苛立ちを覚えるのも事実。好きなら好きでやりようはあるだろうに。結局のところ、俺と土方さんでは恋愛観が違うんだろう。好きなら攻めろ。墓まで持って行くつもりか。……まあ、そのつもりなんだろうが。

「……ほんと、アンタって人は馬鹿でいけねェ」
「あァ?テメーにだけは言われたかねーよ」

わかってない土方さんは反論してくるが俺が言いたいのはもっと根本的な話で。……まあ、いい。土方さんにいくら話しても無駄だ。土方さんがそれでいいんなら俺が口を出すことでもない。
ただ、もう一言だけ言わせてほしい。

「ばーか」
「よし!表出やがれ」

青筋を立てて大人げなく怒る土方さんはきっと逃げたところで追い掛けてくるだろう。だから撒くためには方法はひとつしかない。

「嫌でィ」

同時に、どこからともなく取り出したバズーカを発射すれば土方さんがマトリックスのごとき動きでそれをかわしたのがわかった。
……よし、今の内に逃げよう。


我が家の鬼は鬼馬鹿です


土方をつつく中立沖田。

2011.09.26

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