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僕の好きな人はどうしようもない。良い意味でも悪い意味でも。
「ちょっと銀さん、ゴミはゴミ箱にって言ってんでしょーが!」
「あ?ゴミじゃねーよ。俺の大切な思い出だ」
「そうですか。じゃ空の牛乳パックという名の思い出をゴミ箱に捨ててください」
何が思い出だ。いっそそのまま思い出に埋もれてしまえ。
二本目のいちご牛乳を口にしながらジャンプを読む銀さんはまあ、いつものことなので気にしないことにする。
「銀さん」
「何だよ、さっきから」
「腕出してください」
「……腕ェ?おまっ、いくら俺の腕が逞しくて羨ましいからってそれは引くぞ」
「何ポジティブな勘違いしてるんですか」
このままではのらりくらりとかわされてしまいそうだから腕を掴んで着物をめくり上げれば銀さんの眉間に皺が寄った。
「ほら、怪我してるじゃないですか」
「あん?こんなんかすり傷だっての」
「こんなぱっくり開いたかすり傷見たことないです」
また余計なところに首を突っ込んで余計な怪我をしたに違いない。銀さんらしいと言えばらしいけど、心配だ。
「今から手当しますから」
「有無を言わさずか。おかんか」
「おかんでも別にいいです」
やたら怪我をする人が約二名いるせいで常備されている救急箱に手を伸ばす。
「銀さんは、周りに気を配りすぎです」
もう少し、自分を大切にすればいいと思う。いくら言っても銀さんは聞きはしないのだろうけど。
「お前に言われたくねーよ眼鏡」
「どういう意味ですか」
「そういう意味だよ」
包帯を取り出していると銀さんがそう言うので僕は首を傾げた。意味がわからない。
いつだって、一番自分を大切にしてないのは銀さんだ。
銀魂自体、自分より他人を大切にする人が多いですけど万事屋は特にその傾向にあるかな、と思って。
2010.07.28