曖昧ミーマイン

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俺は近藤さんが好きだ。何度も言っているかもしれないが、好きだ。尊敬している。一生かけて守ろうと思っている。
だがこれは違うと思うわけだ。

「トシ、好きだ」

これは、違う。絶対に違う。

「……おう。ありがとよ」
「そうじゃなくて!」

近藤さん、拗ねるなよ。意味を理解出来てないわけじゃねーんだ。理解したくないだけだ。悪い、俺は今回ばかりは理解出来ないふりするわ。

「愛してるって意味!」

ああ、もうとぼけられねーじゃねーか。何言ってくれてんだ、このゴリラ!

「……あのゴリラ女はどうしたんだよ」

好きなんだろ、ストーカーになるくらい。それなのに何言ってんだよ。冗談きつい。今日はエイプリルフールじゃねーぞ。

「お妙さんはなんていうか俺の中ではもうアイドルみたいな感覚でな……。ほら、新八君で言うところのお通ちゃんみたいな!」
「……」

ああ、そうかい。じゃあそのことはもういい。
で、なんでアンタ今度は俺なんだよ。もっと身近にいい奴いねーのかよ。大丈夫だよ、アンタいい男なんだから。自分を安売りしてんじゃねーよ。まだ二十代だろうが。

「……やっぱり気持ち悪いか?」

それは、俺の台詞だろ?なんでアンタが先に言うんだよ。

「近藤さん、ふられすぎてついにおかしくなったか?俺は男だぞ?」
「好きになるのに性別は関係ないだろ」

…………なんだその持論。アンタ馬鹿だろ。関係あんだよ。

「アンタは、いい父親になる」
「?……おう」
「カカア天下でも亭主関白でもいい。愛妻家で面倒見もいいんだろうな。アンタはいつだって、」
「ちょっ、待った!トシ待って!」

人がせっかく冷静になれと諭してやってる途中だったのに待ったをかけられた。

「お前、どこ見てるんだ?」
「どこって、今は近藤さん見てるだろ」
「そうじゃなくて!お前はなんで俺の未来を見てるんだ?」

なんでって……。それがアンタの本来あるべき姿であって、それ以外の道に進みそうな時は俺が軌道修正してやらねーといけないから、か?確実に余計なお世話だな、これ。

「俺は、トシの気持ちが聞きたい。嫌なら拒否するばいいし」
「い、」

嫌なわけねーだろ。アンタは知らねーかもしれねーがアンタが俺のこと好きな倍以上俺はアンタのこと、間違いなく好きだよ。
でも俺がこれ以上アンタに近付くわけにはいかねーんだ。確実に、将来の一般的な幸福を奪うことになる。

「でも気持ち悪いって言われても好きな気持ちはどうしようもならないんだけどな。気持ち悪かったらごめんな」
「……っ」

なんで、そんな自虐的な言い方するんだよ。そんなのアンタらしくねーだろ。アンタいっつもおかしいくらいポジティブだろ。
近藤さんはずるい。
絶対その言い方だと俺が本音言うと思ってやってんだろ、計算だろ、それ。わかってんだからな、アンタが案外腹黒いのは。でもだからってとぼけるのは俺にはもう無理だ。

「俺は、」
「うん」

もう、知らねえ。せっかく俺が墓まで持って行こうとしてたもの無理矢理引っ張り出しやがって。

「俺はさ、絶対近藤さんが俺を愛してるって言ってくれてる倍以上は近藤さんのこと愛してるよ」

なんでこんな恥ずかしい台詞吐かないといけねーんだよ。
でも、まあ、近藤さんの表情が一気に明るくなったから、良しとすることにする。


愛のフェードアウトに失敗しました。再試行してください

「トシィィィ!」
「ちょっ、ルパ〇ダイブしてくんな!重い!」


土方はすごい近藤のこと好きなのに向こうから来られたら一回は拒否しそう。

2010.08.03

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