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人間ではないデュラハンに寿命なんて概念があるのかどうかはわからない。でも僕より長く生きるのはほぼ確実だった。当然と言えば当然だ。そんなことより私は短い人生の中でセルティに出会えた奇跡に感謝すべきだ。わかってる。でも考えてしまうこともある。
「セルティは僕が死んだらどうするの?」
前に俺が怪我をした時は、首だけ持って帰ってしまうかもしれないとか言ってたけど本当なんだろうか。それはそれで嬉しいかもしれない。
『い、いきなり何を言い出すんだ新羅』
PADを突き出して僕と会話をするセルティは動揺しているようだった。いきなり重たいことを聞いてしまったかなあ、とは思うけど言ってしまったものは仕方ない。
「いや、いつかは俺は死んでしまうわけだからね。そりゃ出来るだけ長くセルティとはいたいけどこればっかりは自然の摂理というやつでどうしようもないね。ああ、僕とセルティを引き裂く自然の摂理が憎い!」
いきなり話が脱線した。俺が死んでからセルティはどうするのか。それが聞きたかったんだけど。
『どうって……新羅がいなくなった時のことなんて考えたことがないし、考えたくもない』
そう言いつつも想像してしまったのかセルティの表情が曇る。失言だったか。そんな顔をさせたかったわけじゃないのに。
「ごめんセルティ。軽挙妄動だったね。悲しまないでおくれ」
『…………』
わざわざ三点リーダーを打ち込んだPADを見せてくれた。その沈黙は何を意味してるんだろう。怒っているのか。はたまた別の意味があるのか。いくら僕でもセルティの全てを見通せるわけじゃない。
セルティはPADを一度戻すと何かを打ち込んでこちらに向けた。三点リーダーはそのまま残っていて、その後に文が加えられていた。
『DVDを一緒に見てくれたら許す』
怒っていたらしい。縁起でもないことを言うな、と言ったところか。それにしてもそんなことで許してくれるなんてセルティはなんて可愛いんだ。今すぐ力の限り抱きしめたいけど影に防がれてしまう気がする。セルティは照れ屋さんだから。
「いいよ。何見ようか」
『それはもう考えてある』
おもむろにセルティが取り出したのはホラー系の作品で。ああ、だから一緒に見たかったのか、と理解する。同時にまた抱きしめたくなった。
「セルティ、抱きしめてもいいかい?」
『駄目だ』
やっぱり却下された。
私の知能が低すぎて四字熟語をほとんど出せませんでした。
2011.09.30