曖昧ミーマイン

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最近、静雄が成長した。
身体的なことではなく、在り方と言うか。口で言うのは難しいが、行動を見るとわかりやすい。

「静雄」
「はい?」

黙って手を差し出してみる。念のために言っておくが、周りに人はいない。
少し前の静雄なら、酷く狼狽えた挙げ句結局何も出来ないままだった。誰よりも強い静雄は力のコントロールが苦手で、誰かを傷付けてしまうことを何より恐れていた。

「最近よく手繋ぎたがりますね」
「ん?そうか?」

そりゃそうだ。
成長した静雄を実感することが出来るものだから、浮かれて何度も確認している。流石に静雄も気付いたらしい。

「……まあ、いいすけど」

言うと、静雄は控えめに俺の手を握る。
その力は成人男性にしては控えめで、かなり加減していることがわかる。かなり微妙な力加減なんだろうが、静雄はそれを習得した。その努力を思うと、どうしようもなく愛おしく思う。
静雄は人一倍努力をして、人並みを手に入れた。平々凡々な俺には想像がつかないくらいの苦労を、きっとして来た。だがこれからは違う。そんな静雄の未来を思うと、まるで自分のことのように嬉しい。

「うし!今日も張り切って取り立てるか!」
「そうっすね」

繋いだ手を振り上げてみると、静雄の腕は伸びきらなかった。……これが体格差というやつか。


息継ぎセンチメンタル


保護者のようなトムさん


2013.01.18

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