8.親切と下心
「ここんとこテストに出んぞー。」
日向先生の声に黒板を見上げる。
私は居眠りをしていたのだ。
カチカチ、とシャープペンシルを動かして適当にノートをとる。
テストか……え?いつ??
「お前、日向先生の話聞いてなかっただろ!つーか寝てたろ。」
「あ、バレちゃった?」
翔くんからデコピンを喰らった。
そうだよね、日向先生大好きだもんね。
「バレるも何も、あれだけ見つめていてわからないはずないですけどね。」
「…っ、な、なな!?」
そこへやってきたトキヤくんの声に翔くんが顔を真っ赤にして口をパクパクする。
なんだか金魚を思わせる。
「そう言うイッチーも、レディを見ていたんじゃないのかい?」
「……変な誤解をしないで下さい。」
「とっ、とにかく!俺様がノートを貸してやるから、ちゃんと書いとけよっ。」
「うん!ありがとう☆」
そんな訳で翔くんからノートを借りたんだけど、その間翔くんが勉強できないと意味が無いのでみんなで勉強会をすることになった。
それにしても翔くん、親切だなぁ。
「あれ、これ間違ってる?」
「…君は計算ミスをしていますね、これは…、▲×…●××…。」
トキヤくんが細かく説明をしてくれたけど、更に意味がわからなくなって申し訳なくなった。
「…はぁ、俺も頭良ければなぁ。」
「おチビちゃん、下心丸見えだよ。」
「そ、そんなんじゃねえ!勘違いすんなッ!俺はただ……」
「はいはい。」
翔くんから視線を感じたので視線を向けたけど、俯いていて表情がわからなかった。
聞いてるんですか、とトキヤくんの声。
私は小さくごめんなさいを言ってシャープペンシルをまた動かした。
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