7.シュークリーム


今日は華の日曜日という訳で、お菓子を作ることに決めた。



「ただいまぁ〜…。」

「…………おかえり。」



買い物から帰ると、藍ちゃんがいつものようにソファを占領してTVを見ていた。

初めは毎日が緊張の嵐だったけど、なんだかんだでアイドルである藍ちゃんとのルームシェアにも慣れてきた。



「覚悟しなさい!」



目の前の卵やら小麦粉やらを指差して、私は誰にともなく言った。

「バカじゃないの、」という藍ちゃんの言葉は聞かなかったことにして早速調理を開始する。

今日作るのは、シュークリームだ!



「クリームパンだね。」

「ううっ、無念!」



完成したシュークリームになるはずだったクリームパンを一口かじった藍ちゃんを見つめる。



「固い。」

「…仰る通りでございます。」

「まあ、食べられなくはないけど。」



そう言って藍ちゃんはパクッっともう一口かじった。

じぃーっと見つめているうちにそのクリームパンは藍ちゃんに食べられたのだ。

・・・食べてくれた!

感動して思わず両手で藍ちゃんを拝むと呆れた顔をされた。

だけどやっぱり嬉しくてルンルン気分で食器を洗っていると、



「優子って……」

「はーい?」

「相当変わってるよね。」



そう言って藍ちゃんが小さく笑った。



「次はちゃんとシュークリームを作りますからね!」

「……まぁ、あまり期待はしないでおくよ。」

「そんなあ。」



憎まれ口を叩く藍ちゃんだけど、その顔はどこか優しかった。

それから月日は流れ、中間考査がやってこようとしていた。

もちろんこの時の私はテストの内容を知るはずも無い。



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