4.部屋の条件


数日後、両親が借りてくれたアパートを出て渡されたカギと地図を手にシャイニング事務所の私有地であるマンションへ向かった。



「ここかな…?」



随分とお洒落な外装だった。

階段を上り、それからカギを取り出すと真後ろに気配を感じた。



「何してるの。」

「ひぇッ!?」



振り向いた視線の先に思わず目を見開いたのは、ついこの前会った私にとって非現実的な人物だったからだ。



「あ…そっか夢か。」

「は?何寝ぼけたこと言ってんの。」



寝ぼけてなんかないよっ!!
…と思いながらも自分の頬を抓る。

痛いよ・・・。

そんなことをしていたら、美風藍は目の前のドアの中へ入って行った。



「えっ、ちょっと!!」



追いかけるようにして部屋の中へ入ると、外装以上の広さに驚いた。

それ以上に、アイドルである美風藍がソファーにこじんまりと座って当たり前のようにTVを見ていることに驚いた。



「あ、あの………?」

「…………。」

「美風さん……?」
「………………………何。」



ひぃっ・・・!

目、目力がすごいよ睨まれたよ!!



「…君の部屋はあっち。」

「え?」



美風さんが指差す扉に私は更に目を丸くした。

部屋の中に更にカギ付きのドアがあったからだ。

そういえば、早乙女さんから貰ったカギには玄関の扉の他にもう一つ小さなカギが付いている・・・けど!



「これって、もしかしなくても…」



美風さんに言われた通り、指定された部屋のカギは持っていたものと一致。

更に部屋の隅に置かれたテーブルの上には間違いなく早乙女さんから私への置き手紙があった。

それに目を通した私は呆然とそれを見つめるのだった。

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