41.モデルさん


いよいよイベントが始まり、私は緊張しながらもステージに上がった。

すると、見覚えのある顔がバチッと視界に写る。

…それはトキヤくんの双子のお兄さん、HAYATOさんだった。

彼は少し私を見つめた後、さっと客席に視線を戻し司会を始める。



「それではぁ〜、最初のお題はこ・ち・らッ…そうズバリ『冬』!!」



胸元にナンバープレートをつけたモデルさんたちがステージへ上がる。

私たち参加者はくじを引いて書かれているナンバーと同じモデルさんをコーディネートするそうだ。


私は・・・7番!!

7番のプレートをつくているモデルさんは男性の方だった。

私と目が合うと彼は二コッと笑う。

・・・この人なんか見たことあるなぁ。



「よろしくね?」

「はい、よろしくお願いします!!」



制限時間は1時間。

遊園地内にいくつかあるブランドショップから商品をレンタルし、コーディネートする。



「よ〜い…スターット!」



気合いを入れて頑張らねばっ!!!

意気込んだ私はモデルさんと共に遊園地内を駆け出した。



「………………。」



さっそく店内でお洋服と睨めっこ。

インナーはどれにしようか。



「…ね、七瀬ちゃん。」

「何ですか。」

「……彼氏とかいる?」

「え。」



思わず振り返ると、予想外の近さにモデルさんが立っていた。



「いるの?」

「いっ…いません。」

「そっかそっか〜。」

「あ、あのこれ着てみて下さいっ!」



グイッと服を押し付けて私は距離をとった。

すると、くすっと笑って「はいはい」と適当に相槌して彼は更衣室へ向かった。

今のは何だったのか………。


選んだインナーを身にまとってモデルさんが戻って来た。



「どうどう?」

「似合ってます、それじゃあ次のお店に…」

「れっつご〜〜♪」

「うあっ!」



モデルさんはご機嫌な様子でガシッと私の腕を掴むと走り始めた。



「ま、待って下さい…っ〜!」



・・・イベント開始から15分。

不安でいっぱいです。



[ 41/53 ]

[*prev] [next#]

[しおりを挟む]