40.イベント


私は今、とあるイベントを開催する遊園地に来ています。



「う゛っ…お、重…い…!」

「大丈夫?君は受け付けのすぐ側にいてもらうからね。」

「は、はい…。」



いつもより重たい体を動かして、指定された場所へ向かう。



「あっ!!ママ、うさぎがいるよー!!!」

「あら、可愛らしいわね〜。」



・・・そう、うさぎの着ぐるみ姿で。

社長がくれたチャンスとは遊園地でのアルバイト、そして、




『…スタイリストコンテスト?』

『このイベントは毎年都内の遊園地で開催されているものだ。司会者にお題を出され、時間内にモデルをコーディネートさせなければならないというルールがある。』



簡単な説明を受けると、私は申し込み用紙を記入するよう促された。

社長が言っていたチャンスとはこのことなのである。



『もしこのイベントでYOUが優勝したら2人の関係を特別に許してあげマース!』

・・・やるしかない。



****


イベントが始まる15分前。

ステージ裏で見覚えのある人物を見つけた私は声をかけるため彼に近付いた。



「もしかして、藍せ〜んぱいっ?」

「…君がこのイベントの司会者か。」



振り返ってこちらをチラリと見た彼は以前、仕事でお世話になった方だった。



「どうして藍先輩がここに?」

「……それより、君も大変だね。」

「え?」

「疲れないの、そのテンション。」



えぇ、とても……とは答えられずに私はニッコリ笑って適当にあしらった。

美風さんもあまり興味が無かったようで、ステージの方を見ていた。

その瞳はなんだか真剣で…先程の質問にも答えませんでしたし、それなりの理由があるのでしょう。

いよいよイベント開催、私は笑顔でステージに飛び出して行った。



「お〜はやっほ〜〜!!!」



キャアア〜〜ッ、と歓声が上がる。

タイミングを見計らって、私は台本通りに今回のイベントのタイトルコールを言いました。



「それじゃ、早速始まるよ〜…『スタイリストコンテスト☆第5回っ♪in不死級アイランド!』」



パチパチ、と拍手があがる。

イベント参加者である女性たちがステージへ次々と現れた。

そしてその中の1人に思わず目が奪われた。


…彼女がいたのだ。



[ 40/53 ]

[*prev] [next#]

[しおりを挟む]