3.新しい友達
早乙女さんに勧められてSクラスの体験入学をすることになった私は今通っている高校へ欠席の連絡をしようとしたけれど、
その瞬間に知らない番号から着信がきて「既に連絡してありマース!」と言われた。
一体何者?
「じゃあーHR始める前に、特例で体験入学に来た生徒を紹介する。」
「あ、七瀬優子です。よっよろしくお願いします!……」
それから数日、Sクラスで一通りの授業を受けた私にはさっそくここでの友達ができた。
「なぁ、七瀬はどう思う?」
初日に学園の案内をしてくれた翔くんが気さくに話しかけてくれて、人脈が広がったのだ。
「え、えと、ごめん、今なんて?」
「はあ!?聞いてなかったのかよ〜。」
「ふふ。残念だったね、おチビちゃん。」
ガクッと肩を落とす翔くんにレンくんがポスンと頭を撫でた。
「だぁああ!頭撫でんなッ。」
「翔、そのような態度が相手の思うツボなんですよ。」
ぷりぷりと怒る翔くんにトキヤくんがなだめるように言った。
ちなみにトキヤくんはあの人気アイドル・HAYATOの双子の弟だと言う。
瓜二つの顔に最初は驚いたけど、双子なんだから当然だよね。うん。
「……ところでさ、お前…決めたのか?」
「うんっ。私、ここでデザイナーを目指すことにした!!」
そう、私はここでデザインの勉強をすることに決めたのである。
力一杯に頷く私を見て翔くんがぱぁっと笑顔になってくれた。
「そっか…そうだよな、せっかく友達になれたんだしさっ。これからもよろしくな!!」
「君みたいな優秀な生徒が増えるのはとても喜ばしいことです。」
「ありがとう、二人とも!!…ぎゃあッ。」
急に腰に腕を回され、変な声が出てしまった。
もちろん犯人はレンくんだ。
「ち、ちょちょ…レンくんッ!」
「これからもレディにこうやって会えるんだと思ったら嬉しくて、つい…ね?」
「つい、で抱き寄せんなぁああー!!」
上から私、レンくん、翔くん…大体いつもこんな感じだ。
そんな定着しつつある光景の隅でトキヤくんが穏やかな笑みを零したのが見えた。
それから、正式にこの学園に転入することが決まった私に早乙女さんから部屋のカギを渡された。
[ 3/53 ][*prev] [next#]
[しおりを挟む]