34.呼ばれた理由
くるり、と翔くんの背中を見つめため息をついた彼は何かを決意したように学園を去って行った。
もしかするとさっきの会話は部外者が聞いてはいけない場面だったのかもしれない。
でも翔くんは大切な友達だし……
とりあえず翔くんから何か言ってくれるのを待ってみることにしよう。
「っていうか私も行かなくちゃ!!」
学園長室へ行くと、翔くんとトキヤくんの他にも音也くん、真斗くん、那月くん、春歌ちゃんがいた。
どうゆうこと・・・?
ポカンと口をあけて立ち尽くす私の後ろでガチャリ、と再びドアが開いてレンくんが「遅れてごめんよ」と優雅に入ってきた。
「これで全員揃いマシター!!」
「…で、話は何かな?ボス。」
レンくんが話を促すと、学園長は立ち上がり言った。
「YOUたちには、今日から6人アイドルユニット"ST☆RISH"としてデッビューを目指してもらいマース!…単独ではオーディションに参加させられましぇ〜ん。」
学園長の言葉に驚いたみんなは、お互いに顔を見合わせていた。
「グループで……」
「そんなオーディション、聞いたことがありません。」
困惑した様子の音也くんにトキヤくんの声に続き、翔くんが口を挟む。
「つーか、何で俺たちなんだ?」
「良い質問デスネ、おチビちゃーん!」
そう言って、学園長は春歌ちゃんに視線を向けた。
「Ms.七海の曲を歌いこなせるのはST☆RIRHにしかできない。そしてまた、彼女の曲こそがお前たちを輝かせる……。」
「あのっ、私、頑張ります!皆さんが1番輝ける曲を作ります!!」
春歌ちゃんが力一杯に声をあげた。
・・・ちょっと待てよ?
これってつまりはそうゆうこと?
「ST☆SISHがオーディションで使用する衣装を作るのは…Ms.七瀬、YOUデース!!」
・・・予感的中。
その場の全員が私に振り返った。
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