33.事故の後
テレビのチャンネルをまわす。ニュース番組はほとんどが藍ちゃんの事故のことを報じている。
…食事、ちゃんと取ってるかな。
そんな心配を勝手にして、私は早乙女学園へ向かった。
「よ、あけおめ〜っ☆」
「今年もよろしくお願いします!」
「友ちゃん、春ちゃん…あけましておめでとう!」
廊下で2人に新年の挨拶を終えた私はSクラスの教室へ入ると、既に来ていた翔くんとトキヤくんが楽しそうに話をしていた。
そして私に気付いたトキヤくんが微笑み会釈、続いて翔くんが「ようっ!」と手を振ってくれる。
「今年も頑張ろうぜ!もうすぐ卒業オーディションあるし。」
「えぇ…まぁ、優勝するのは私以外ありえませんが。」
トキヤくんが余裕の笑みを浮かべる
・・・と、そこに。
「NON!人生は〜小説より奇なりぃい〜デースゥ!!」
「ぬわぁああッ!!学園長、アンタどっから!?」
いつの間にか現れた学園長に相変わらず初々しいツッコミをする翔くんをスルーして、学園長は言う。
「Mr.一ノ瀬&Mr.栗栖…and、Ms.七瀬。YOUたちは昼休みにミーの所へ来るべしぃいいい………大事な話がありマース。」
「ん?ここじゃダメなのか。」
「YES、声をかけたのはYOUたちだけではありまセン!」
「わかりました。」
コンペのことや課題で学園長室に呼ばれることは何度かあったけど…みんなが一斉に呼ばれるなんてこと一度も無かった。
一体何なんだろう??
それから、授業を終えてお昼。
学園長室に向かおうと廊下を歩いていると、聞き覚えのある声がした。
「だからっ、俺は絶対に大丈夫だ!!」
「嘘…そうやって翔ちゃんはいつも無理して笑って、本当は辛いのに我慢してるんだ!!」
・・・双子?
一瞬、翔くんが2人いる!!って驚いたけどよく見ると1人は翔くんより背が高いし声も若干違う。
「……悪ぃけど俺、アイドル諦める気なんてこれっぽっちも無い。学園長に呼ばれてるからもう行く。」
そう言って翔くんは同じ顔をした彼の横を通り過ぎて行った。
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