2.体験入学


「…知ってはいると思うけど、僕は美風藍。君のデザインした服を今度のショーで着るモデルになった。よろしく。」

「は、はいっ!」



挨拶を済ませた彼は仕事があるらしく、すぐに部屋を後にした。



うわぁ、本物だった!!
やっぱり綺麗な顔だなぁ……。



「はっはっは〜、それではでは優勝賞金…を渡す前にYOUに聞きたいことがありマース!」

「はい、何でしょうか…?」

「Miss七瀬、YOUの夢を教えて下サーイ!」



私の夢・・・?

考えてみれば、デザインが好きで学びたくて上京したけど具体的な目標は決まっていなかった。



「私は…ただデザインが好きで……、だから…まだ何をしたいのかわからないけど、いつか何かの制作に関わりたいって思ってます。」

「ほぅ〜、具体的な夢も無しに上京までするとはその意気や良しデスー…。」

「はあ、ありがとうございます(?)」

「YOUさえ良ければ、シャイニング事務所専属デザイナーを目指してみまセンか?YOUには才能がありマース!」



・・・専属デザイナー??

何だか頭が整理出来ないまま話はどんどんと進む。



「その…具体的には、何をどうするんでしょうか?」

「YOUには早乙女学園でデザインの勉強をしてもらいマ〜ス!」

「え、転校はちょっと……」

「安心して下サーイ、その必要はナッシングー!ミーがYOUの通う学校へ話をつけておきマシター。」



えっ!いつの間に!?



「……YOUがもし、早乙女学園へ転入する気があるなら寮も特別に貸してあげましょー!学費だけで家賃が浮きウキウキまくりになりマース!!」

「えぇっ!?」



才能まであると言われて、ぶっちゃけこんなにオイシイ話は他に無いと思った。

でもやっぱり、どうしてもまだ信じられなくて……



「体験入学してみてもいいですか?」

「もちのろんデスー!」



そんな訳で私の早乙女学園での生活は幕を開けた。



後日、私は帽子を被った男の子に連れられて学園まで来た。

彼の名前は来栖翔くん。

早乙女学園の現役生徒さんで、先生に頼まれたからと学園の最寄り駅まで迎えに来て案内をしてくれているのだ。



「着いたぜ、ここがSクラスだ。」

「案内ありがとうございます!」



ガラッと勢い良く来栖くんがドアを開けた。

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