20.誓いと別れ


海の青さに感動したところで、私はようやく現実に戻ってきた。



「……ぬああっ!!」



藍ちゃんの顔が近かくて、ドキドキして変な声が出た。

私・・・肩、借りてたんだ!?

あぁ、どうしようアイドル美風藍の肩借りて海でお昼寝なんて贅沢極まりなさすぎ!!



「優子……。」



ヨダレとか垂らしてないかなぁってか寝顔見られちゃったよね!?うわぁ恥ずかしいぃいい……。

っていうか…昼??

なんで…夜…だった、のに……。



「優子!」

「はっ、はいぃい!?」



肩を掴まれて、声が裏返ったら藍ちゃんが笑い出した。

やっぱり、笑ってる方が良いなぁ。



「顔が赤いと思ったら、眉間にしわ寄せて、また赤くなって…忙しいね。」

「藍ちゃんのせいですッ!」

「…ふーん、そ。」



どうやらここは、社長が個人的に買い取った島らしい。

ショーを成功させた私たちにご褒美という名目で謎のワープ機能(?)で連れてきてくれたのだという。

だけど、島に着いた頃には私はほぼ気絶状態で今ようやく目が覚めたところだ。


「二人きりで過ごせるのは、今日でおしまいだ。」

「………え?」

「ショーが終わった今、あのマンションで僕たちが出入りをしたらもう誤魔化せなくなる。」

「あ……。」



そっか・・そうだよね。

当たり前だよ、って思うのに何で?

悲しくなるんだろう。



「これからは、仕事以外で会わない…会えないんだ。」

「そう、ですね…!」

「どうゆう事か、わかってる?」

「え…?」



優子がプロのデザイナーになれなかったら………

もう二度と、会えなくなるって事。



そう、藍ちゃんは言ったけど、

まるで他人ごとのような口振りで、



「…優子なら出来るでしょ?」



挑戦的な瞳で私を見つめたから・・



「当然です…私、絶対にプロになります。デザイナーになって藍ちゃんをプロデュースしてみせます!!」



強気な口調で、宣言してみせた。

「約束だよ」と藍ちゃんの薄い口が弧を描き、それが彼との最後の会話になった。

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