14.ふたりの朝


私に安眠効果が無いことがわかってから数日の朝、珍しくオフだという藍ちゃんにメールで起こされた。

『おなかすいた』と一言。

変換する気力も無いらしい。

眠い目をこすって時計を確認すると短い針が7で止まっている。



「藍ちゃん…私も今日はお休みなんですけど。」

「へえ。」



いや、「へえ。」って!!

絶対知ってたよね?
だって日曜日だし?私学生だし?



「じゃあコレね。」

「私の気持ち無視な上に堂々のパシりですか。」

「シュークリームとサラダセット、飲み物は紅茶。」

「さらに無視……。」



藍ちゃんに渡された千円札を持って私はコンビニへと送還された。

「お釣りで好きなもの買っていいから。」

・・・って言えば釣られると思ってるの!?

まあ、釣られましたけどね!!



「遅いよ。」



マンションへ戻ると藍ちゃんがTVを見ていた。

考えてみれば藍ちゃんはよくTVを見てるけどいつも何故か真剣な気がする。



「じゃが●こ……油の塊だね。」

「すっ好きなもの買っていいって言ったじゃないですか!」

「……。」



藍ちゃんは既にシュークリームに夢中のようだった。

藍ちゃんはシュークリームの皮を剥いて食べるタイプの人間らしい。

今度やってみ・・・ません。



「優子。」

「は、はいっ?」

「……なんでもない。」

「何ですかそれ〜。」



最近、藍ちゃんが時々見せる切ない表情が気になっている。

どうしてこんなに気になるのか、自分でもよくわからないけど藍ちゃんは笑った顔が最高に素敵なんだ。



「藍ちゃん、元気出して!」

「は?何いきなり。」

「なんとなく。」

「…、ほんと変わってるね。」



藍ちゃんに言われたくないけど。

でも、笑ってくれたから良しとする!



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