11.謎だらけ


藍ちゃんが留守の間にも、ファッションショーで着てもらう衣装を作り始めていた。

部屋で制作するには少し窮屈なのでリビングで作業をしている。

サイズは事前に教えてもらっていたけど・・・流石アイドルと言うべきスタイルだ。

藍ちゃんがステージで1番輝けるように、素材にもこだわって作ろう!



「………ん、うぅー?」



気付けばリビングで寝ていたらしく窓から差し込む光で目が覚めた。

そこで気付いた上着の重さ。

私の物じゃない・・・。



「藍、ちゃん……?」



いつの間に帰って来て、また仕事に行ってしまったようだ。

今夜は会えるかな・・・と、そこまで考えて恥ずかしくなってきた。

何考えてんの私!!

なんだか朝食も喉を通らないまま、学園に向かった。



「……優子ちゃん、お腹空いてたんですね。」



お昼休み、大盛り醤油ラーメンを頼んだ私を見て春ちゃんが言った。



「ん?そんなに腹減ってんなら、俺様のコレ分けてやるよ。ほれっ。」



そう言って翔くんがトレーからゆで卵を取り、私のラーメンへと入れてくれた。

ちなみに翔くんは"シャイニングセット"と呼ばれる栄養バランスを考えたランチメニューを食べていた。



「え、いいの翔くん?」

「おうっ。」

「ありがとう…翔くん優しいね!」

「当たり前だろー!」



和気藹々、とした空気にほくほくしながら貰ったゆで卵をかじった。

するとそれまで黙っていた那月くんがパンッと立ち上がり、私の腕を掴み抱き寄せた。



「優子ちゃん、可愛すぎですっ!」

「な、那月くん……。」

「バカッ!那月、離せよっ!」



翔くんが引き剥がしてくれた。

見た目こそ可愛らしいけど、やっぱり力あるんだなぁ〜なんて。

じっくり見ていたら翔くんと目が合ったけれど、すぐに逸らされた。

なんだか顔が赤かったような?



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