愛と呼ぶにはまだ早い -2話-




「エスカバはオナニーする時エロ本使わないの?AV派?」
「―――んっ…やめろ…」

ミストレが、ぴちゃぴちゃと淫らに水音を立てながら耳を愛撫し、熱っぽく囁く。耳たぶを甘噛みしたり、穴に舌を入れたり、そこばかり執拗に攻め立てる。

エスカバは身体に集まってしまった熱を鎮めるために、きつく目を閉ざし、本を視界に入れないよう俯いた。だが視覚的興奮はなくなったものの、目を閉じることで、より耳朶への刺激に敏感になる。
もはや身体からは完全に力が抜けてしまい抵抗すらままならない。
エスカバがミストレの動きを制しようと振り上げた手は、虚しく空を切るだけだった。

「あ、それとも妄想オナニー派?さっきから全然エロ本見てくれないみたいだけど」
「う、るせぇっ…どうでもいいだろ…」
「エスカバさっきから全然質問に答えてくれない」
「…それはお前、が…」
「でもさ、一つだけ分かったよ」

バサリ、と雑誌を床に落とすと、ミストレはエスカバの股間部分に指を滑らす。形をなぞるように指を這わすと、エスカバが力無く震える。

「君がこの状況にえらく興奮しているってことはね」
「……っあ……」

エスカバはもはや言い逃れ出来ない程に反応してしまっている自身に絶望した。
そしてこのような痴態をミストレに見られてしまった事実に、熱に浮かされ抵抗出来ない自分の腑甲斐なさに、目頭が熱くなる。

「…っく、もぉ…止めろ…」
「何で?エスカバこのままじゃ辛いでしょ?」
「……、っ…」
「――してあげるよ」

ミストレは沈黙を肯定と取ると、いよいよスボンのファスナーを下ろし、既に先走りで濡れているエスカバの屹立を取り出した。
おおよそ使用したことがないのだろう綺麗な色をしたエスカバのものを片手で包み込むと、胸に預けられた背中が揺れる。

「耳を舐められただけでこんなにするなんていやらしいね、エスカバ」
「……うっ…ぁっ……」

ミストレはわざとエスカバの羞恥を煽り、貶める言葉を口にする。
ゆるゆると屹立を擦り上げながら、空いている左手をエスカバのシャツの裾から滑り込ませ、硬く薄い肉のついた脇腹をその形を確かめるように手の平で何度も辿った。

「ああっ…!」

そして徐々に手の平を上昇させ、胸の突起の先端を掠めて撫でると、エスカバはたまらず喘いだ。
勃ち上がり、濡れそぼった茎を扱き立てられ、同時に胸の突起を摘み上げられると、エスカバは自分の意思と関係なく震える。
ミストレはその様子に口の端を持ち上げると、透明な雫を溢れさせている先端に爪を立てた。

「あっ…もう、いく…!」

エスカバはびくびくと背中をのけ反らせると、呆気なく熱い飛沫を放った。
達する際の嬌声はミストレの早急な口づけに全て飲み込まれ、部屋に響き渡ることはなかった。




「いっぱい出たね」

暫くミストレの胸に背中を預け、どこか上の空で、浅く呼吸を繰り返していたエスカバだったが、耳元で囁やかれた言葉により、現実に引き戻される。
同時に沸き上がる羞恥と嫌悪。

「……ッ、帰るっ!」

エスカバは力の入らない腰を無理矢理たたき起こすと、衣服の乱れを直し、逃げるようにして部屋から出ていった。
勢いよく閉められたドアの向こうからエスカバが廊下を駆けていく音が聞こえなくなると、ミストレはベッドに座り込んだまま、自分の右手を見つめた。
そして先程までその手にあったものの形を思い出そうとするかのように、筒状に空気を握る。

「………」



「Continue?」
「……!」

突如オーディオ機器から発されたネイティブな英語が耳に届き、ミストレはハッとする。
そこで初めてゲームの電源が点けっぱなしだったことに気づき、乱暴にリモコンを手繰り寄せた。


END




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