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生きてきた中で1番の俊敏さだったと思う。
開かれた少しの隙間に体をすべり込ませ、後ろ手に鍵をかけた。
鞄をベッドに放り投げて、ありとあらゆる窓の戸締りをチェックする。
ついでに盗撮カメラの類もないか、念入りに見て回った。

隣人がストーカー!?
ストーカーが隣人!?
混乱する頭を必死に働かせる。
最近物騒な事件が多いし、やっぱり我が身が大事だ。
ここは実家に避難して・・・。

携帯電話を手に取って、母の番号にかける。
落ち着いて事の顛末を話そう。
あまり大事にすると、ストーカーが逆上するかもしれない。
大学で大変なことになるかもしれない。
そうしたら卒業もままならないかもしれない。
このまま一生ストーカーに怯えながら、暮らさなきゃいけないかもしれない。

かもしれないことを考えながら、何度目かの発信音を聞き流す。
だけど、待てども待てども繋がらない。
おかしいなあ。
首をかしげながら電話を切ると、壁紙のカレンダーが目に入った。

4月25日・・・。

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