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「え・・・」
戸惑った様子の彼女。
目が合い、お互いの存在を認識する。
「さて、後は若いふたりに任せて・・・と言いたいところだけど」
佐々部さんは壁にかけてある藤の写真を下ろし、名前に手渡した。
「不二くんが撮ったのを中央に飾るから、名前はその横な」
「え!?」
驚いたふたりの声が重なる。
「今回は中学生の作品展だよ。君たちはテーマが同じだから隣同士だ」
そう言って豪快に笑った。

動作がぎこちないのが自分でも分かる。
まずは、勝手に写真を撮ったことを謝ろう。
それから、どうして逃げて行ったのか、どうして電話に出てくれなかったのか・・・。
あとは・・・。
ぐるぐると考えが混ざり合いまとまらない。
「あの・・・」
「はい!」
予想外に過剰反応して、思わず恥ずかしくなる。
「その写真・・・。私・・・ですか・・・?」
「あ・・・うん」
謝ろう、謝ろうと思うほどに口が動かない。

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